自民、国民民主と連携協議へ 玉木氏「要請あればしっかり向きあう」

2025/10/05 19:51 

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 自民党の高市早苗総裁は、連立枠組み拡大も視野に野党との連携協議に入る。高市氏側近は4日夜、国民民主党と早期に協議を進めたい意向を示した。国民民主側は現時点での連立入りには慎重だが、所得税の「年収の壁」引き上げなど政策実現に向けた連携には意欲を示しており、政策の扱いが焦点となる。

 自民、公明両党による連立政権は少数与党のため、法案や予算案の成立には一部野党の協力が欠かせない。高市氏は自民総裁選の公約に、ガソリン暫定税率廃止や「年収の壁」引き上げなど国民民主の主張も取り込んだ。決選投票で高市氏支持に回ったとみられる麻生太郎元首相と茂木敏充前幹事長は、岸田文雄前政権時に自公国の連立を模索した経緯がある。

 国民民主の玉木雄一郎代表は4日、岐阜市内で記者団に、高市氏について「我々が言っていたことについて尊重する趣旨の発言もされていた」と評価し、自民との協議に「要請があればしっかり向きあっていきたい」と述べた。古川元久代表代行も5日のフジテレビ番組で「経済政策については高市氏と我々は非常に近い」と語った。

 暫定税率廃止は、与野党の国対委員長が年内廃止で合意し、秋の臨時国会で審議される見通し。焦点となるのが「年収の壁」引き上げだ。昨年12月に自公国3党幹事長の合意文書で「国民民主の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる」と明記したが、協議は停滞する。新たな財源が必要で、自民の宮沢洋一税調会長が難色を示す。国民民主内には宮沢氏の交代を求める声があり、今後の議論となりそうだ。

 また、自民は政権の安定のために国民民主の連立入りを期待するが、古川氏は5日、「一足飛びに連立かというと、丁寧なプロセスが必要になる」と述べ、現段階では慎重だ。国民民主を支援する連合傘下の労組幹部も「連立入りなら、うちの組織内候補は引き揚げる」と難色を示す。

 高市氏は総裁選で、首相指名選挙までに連立拡大を目指すと発言したが、交渉は難航が予想される。石破茂政権と同様、法案や予算案ごとに野党に協力を求める「部分連合」となる可能性もある。

 立憲民主党の安住淳幹事長は5日放送の、BSテレ東番組で、政府・与党が想定していた15日に新首相を選出する国会日程について、複数の自民幹部から「白紙に戻るかもしれない」と連絡があったと明かし、「自民党内も混乱している」との見方を示した。【安部志帆子】

毎日新聞

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