「突然の選挙、有権者の反応測りかねる」 衆院解散へ 候補者の不安

2026/01/14 20:18 

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 衆議院は23日の通常国会冒頭にも解散する方向になった。投開票が2月8日なら解散から16日間となり、戦後最短になる。衆院選に初めて挑む立候補予定者たちは慌ただしく準備を進めており、「超短期決戦」への戸惑いも垣間見える。

 ◇「半信半疑だった」

 「解散の話を最初に聞いたときは半信半疑だった」

 神奈川4区(鎌倉市など)から出馬する予定の自民党新人、永田磨梨奈・神奈川県議(42)は14日、事務所で取材に応じ、年明けから突然強まり始めた解散風に驚きを隠さなかった。

 高市早苗首相が衆院の解散を検討していると報道され始めたのは9日夜。先週末は報道を見た支持者らからのメールでスマートフォンが鳴り続け、出席した新年会や賀詞交換会では参加者に「本当に解散するのか」と聞かれ続けたという。

 2025年3月に神奈川4区の党支部長に就任し、衆院選への出馬準備を進めてきた。党からはまだ具体的な選挙運動について説明はないが、「この1年間、一人でも多くの有権者と対話することを心がけてきた。選挙になってもそのスタンスで臨む」と話す。

 ただ、同時に不安も見せる。「突然の選挙に有権者がどんな反応をするのかは、正直言って測りかねる。なぜいま解散が必要なのか、党や支持者とも話し合いながら、有権者に説明していかないといけない」

 ◇「活動はまだまだ足りない」

 栃木1区(宇都宮市など)から立候補を予定する立憲民主党新人、小池篤史・栃木県議(49)は、約3カ月前の25年10月に党の公認候補に内定したばかり。国政への挑戦は今回が初めてで、事務所には今冬に作製した真新しいポスターが並ぶ。

 栃木1区では、経済企画庁長官も務めた当選14回の自民現職、船田元氏(72)が5連勝中。勝利は簡単ではない相手だ。小池氏は支援組織へのあいさつ回りや街頭でのつじ立ちを重ね、浸透を図っている。

 参院議員と違って解散がある衆院議員の心構えとして、政界でよく言われる言葉に「常在戦場」がある。いつ選挙があってもおかしくないので、いつも戦場にいるつもりで気を引き締めよというものだ。

 国会議員の秘書経験もある小池氏は「常在戦場とは、こういうことかと身をもって痛感している。活動はまだまだ足りないことばかりだが、この短期間でやれることをやるしかない」と準備を加速させる。

 辞職するまでは選挙準備と議員の職務を並行させる。県は当初予算案編成のまっただ中で、今週は職員からのヒアリングも予定している。「自治体職員は予算編成で多忙な時期だ。国民生活にも影響が出る」と述べ、この時期の解散の判断に疑問も投げかける。

 ◇事務所30件以上問い合わせも……

 「心の準備はできているが、早く事務所を決めないと……」

 大阪4区(大阪市北区など)で立候補を予定する国民民主党新人、岡本忠志氏(58)は14日、自身が経営する訪問看護ステーションのオフィスで準備に追われた。

 25年6月の党公認以来、参院選や地方選を手伝いながら自身の選挙に備えてきたが、「まさかこんなに早いとは」。

 選挙事務所の開設もめどが立っていない。この2日間で30件以上の物件に問い合わせたが、契約期間の短さを理由に断られ続けているという。「諦めて党総支部の事務所を活用するしかないのか。今日、明日にでも判断しないといけない」とため息をつく。

 運動員の確保もこれからだ。「2週間仕事を休める人なんて、そんなに多くはない。ただ衆院選は常在戦場。一人でもやるしかない」と表情を引き締める。

 ◇準備OKの新人も

 「昨年暮れに選挙がある前提で準備は進めていた」と語るのは、福岡2区(福岡市中央区など)から参政党公認で立候補予定の元佐賀市長、木下敏之氏(65)。ポスター用写真を撮り終え、選挙カーの手配も済んでいるといい、14日も朝から駅前でつじ立ちした。

 1999年に県庁所在地の市長として当時最年少の39歳で就任した佐賀市長を2期務め、10年には福岡市長選に出馬した経験もある。「外国人労働者の抑制に取り組む」と25年10月に参政から立候補を表明したが、「もう少しミニ集会を開きたかった」と振り返った。

 選挙区は九州最大の繁華街「天神」を抱えるなど有権者の入れ替わりが激しく、毎回激戦区となっている。参院選で巻き起こった風を頼りに勝利を目指すが、「知名度は現職に劣る。街角に立って積極的に露出していく」と意気込んだ。

 ◇政党側「印刷物間に合うか」と不安も

 政党の地方組織も候補者擁立を急ピッチで進めている。

 自民東京都連の幹部は「解散・総選挙について、報道ベースでしか知らず、本部からはまだ何も連絡がない」と困惑した様子。

 都内は小選挙区が30あり、公明党現職がいる東京29区(荒川区、足立区西部)を含む4選挙区で公認予定者が決まっていない。この幹部は「昨年末にそろそろ全ての選挙区で候補者を決めたいと都連内で話していたが、まさか、まだ正月気分が抜けきれない中で解散風が吹くとは思わなかった。印刷物や看板などの準備が間に合うのか」と慌てる。

 とはいえ、9日に解散報道が出始めた直後に会合を開いた支部もあるといい、別の都連関係者は「むしろ、野党も準備は整っていない。やると言われればやるしかない」と話す。

 気がかりなのは、前回選まで受けてきた公明や支持母体である創価学会の支援の行方。関係者は「今でも地方議会では公明議員と協力する場面は多い。これまで培ってきた関係が簡単に切れるとは思えない」と、公明サイドの協力に期待する。

 国民民主大阪府連は、19選挙区ある府内の1、4、5区(いずれも大阪市内)で候補者を擁立。党府連幹部は他の選挙区の候補者選定について「最終段階まで努力する。とにかく走るしかない」と話す。【木村敦彦、池田一生、岡崎英遠、宗岡敬介、柳澤一男】

毎日新聞

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