政治空白でも「生活は止められない」 首相の解散表明に不満や不安
高市早苗首相が19日、衆院を解散する意向を正式に明らかにした。投開票日の2月8日まで「政治空白」は避けられず、予算編成も遅れる見通しだ。物価高などで生活防衛に立たされている有権者からは、喫緊の課題への対応が先送りとなる現状に不満や不安の声が上がった。
◇炊き出しに200人、支援求める利用者
「こんばんは。温まってください」。路上生活者を支援するNPO法人「福岡おにぎりの会」が福岡市博多区の公園で1月中旬の夜に実施した炊き出し。食事を求める生活困窮者や路上生活者らが列をなすなか、スタッフが声をかけながら、温かい豚汁やおにぎり、ゆで卵を手渡した。
会は炊き出しを定期的に市内複数箇所で行っている。1回当たりの利用者の数は新型コロナウイルス禍の2021年度は平均140人程度だったが、25年度は現時点で176人にまで増え、なかには200人を超える日もあったという。
会の担当者は「利用者の多くは生活保護を受給しているが、支給額がほとんど変わらないなか、物価が急騰している。この10年で200人なんて来たことはなかった」と驚く。
福岡県内の寺で住職をしながら20年近く活動に携わってきた中尾流一理事長(58)は「炊き出しに並ばれる方は選挙権があっても選挙に行かない人が多い。戸籍さえ持たず、選挙権がない人もいる。一番苦しい人の意見が反映される政治であってほしい」と求める。
◇「影響受けるのは余裕のない世帯」
「政治は止められても、生活は止められません」
大阪市西成区の団体職員、西崎麻衣さん(41)はこの政治空白こそ、物価高が進む生活への打撃だと感じている。
西崎さんは、高校2年の息子(17)を育てるシングルマザーだ。野球が大好きな息子は府外の私立高校に進学。寮生活を送りながら白球を追っている。「野球で必要な物を『買わないで』とは言えないですから」。ぜいたくはできないが、息子のやりたいことはなんとか続けさせたいと思っている。
解散・総選挙に、西崎さんは「物価高対策が先送りになることが目に見えており、その影響を受けるのは余裕のない世帯だ」と憤る。「賃金を上げるといった生活の下支えとなる支援をしてほしい」と訴える。
◇「じっくり公約見比べる」
東京都墨田区で1人暮らしをする男性(58)は長距離トラックのドライバーとして働いてきたが、体調不良から心身のバランスを崩して仕事を休みがちになり、25年10月に退職した。その後は貯蓄を取り崩して生活する。
正月は、近くに住む兄弟の家族と祝うのが恒例だ。しかし、今年は「用事がある」と告げ、一人で部屋に閉じこもった。「恥ずかしい話だが、親戚の子にあげるお年玉が出せない。正月を祝う気分じゃありませんでした」。今回の選挙については「じっくりと公約を見比べて、本当に生活を楽にしてくれる候補に投票したい」と話した。【山口響、根本佳奈、木村敦彦】
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