「減税ポピュリズム」に地方から警鐘 有識者「冷静な判断を」
2月8日投開票の衆院選で自民党をはじめ各党が打ち出す「消費税減税」の主張に対し、社会保障を支える地方財政への影響を懸念する首長たちの発言が相次いでいる。消費税減税が選挙を目前にした「減税ポピュリズム」との批判もある中、私たち有権者はどう考えたらいいのか。
高市早苗首相は衆院解散を表明した19日の記者会見で「飲食料品については2年間に限り消費税の対象としない」と主張。立憲民主党と公明党が結党した「中道改革連合」も22日発表の公約で、今秋からの恒久的な食料品の消費税率ゼロを掲げるなど、与野党ほとんどが消費税減税を訴える構図となった。
こうした中、福岡県の服部誠太郎知事は23日に出したコメントで、消費税減税について「財政運営に甚大な影響が生じる」と指摘し、「地方財政への影響や社会保障制度のあり方などを十分に考慮し、安定的な代替財源を前提とした丁寧な議論を」と訴えた。
福岡県によると、飲食料品の消費税がゼロになれば年間444億円の減収で、市町村への交付金を除く県の実質的な減収は222億円となる。県は地方消費税の半分以上を子育て支援や介護、医療などの社会保障に充てており、大きな影響が出る恐れがあるという。
佐賀県の山口祥義知事も23日の会見で「佐賀県では年間36億円のロスになる」とした上で「県は弱い人たちのためにいろんなことを考えながらやっている。国会議員にも考えてほしい」と指摘。「政治は危ういところがあり、短期的なところを考えがち。長期的なことを考えると選挙対策にならない。民主主義が抱える課題だ」と述べた。
こうした発言について桃山学院大の吉弘憲介教授(地方財政)は「減税ポピュリズムに対する地方からの警鐘だ」と指摘する。
高市首相は中・低所得者の負担軽減策として、年頭時点では、税と社会保障の一体改革に関する「国民会議」を設置し、税控除と給付を同時に実施する「給付付き税額控除」を協議する方針を示していた。
ここにきて減税の主張がなだれ込んだ様相に、吉弘教授は「地方財政が減収となることで現在のサービスが維持されるのか、十分にシミュレーションされるべきだが、各党が減税を訴えるごく短期の選挙戦で議論が深まるのか」と疑問を呈する。
その上で有権者に対し、「私たちの生活に最も近い地方自治の現場が切実な懸念を表明している以上、『自分たちの負担が軽くなる』という表面的な印象だけでなく、その先に何が起こるのかも含めた冷静な判断が求められる」と話した。【平川昌範】
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