川内原発「具体的危険性はない」 鹿児島地裁、住民側の請求棄却
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は安全性に問題があるとして、住民ら約3000人が九電と国に運転差し止めなどを求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は21日、住民側の請求を棄却(一部却下)した。窪田俊秀裁判長は地震や火山に対する安全性を欠いているとはいえないとし「原告の人格権が侵害される具体的危険性はない」と判断した。住民側は控訴する方針。
訴訟は2012年5月に周辺住民らが起こし、その後、12次に及ぶ追加提訴で原告数は47都道府県の3036人にまで膨らんだ。耐震設計の目安となる基準地震動(想定される地震の揺れの最大値)の妥当性や、火山噴火に対する安全対策、避難計画の実効性など争点は多岐にわたり、審理は12年超に及んだ。
判決はまず原発に求められる安全性について「社会がどの程度の危険を容認するかという社会通念を基準に判断すべきだ」との大枠を示した。その上で原発の安全審査は専門的知見を持つ原子力規制委員会の判断に委ねられており、規制委の適合性審査に合格した川内原発は安全性を備えていると判断した。
基準地震動については、規制委の新規制基準に基づいて策定されており、規制委も基準に適合すると認めていることから不合理ではないと述べた。
また、原発周辺の火山によるリスクについては「原発の運用期間中に巨大噴火が発生する可能性を示す具体的な根拠がない場合、危険性は社会通念上、容認できるとすることは不合理ではない」と言及。「九電が原発周辺のカルデラ火山で破局的噴火が起きる可能性は十分に低いとしている評価は相応の科学的根拠に基づいており、それを妥当とした規制委の判断にも不合理な点はない」とした。
住民側は避難計画についても「実効性がない」と訴えたが、判決は、そもそも原発周辺で高水準の放射性物質が放出される事態は考えられないとして退けた。
判決後、九電は「当社の主張が認められた。今後も安全性、信頼性向上への取り組みを進める」とのコメントを出した。【取違剛、志村一也】
◇広瀬弘忠・東京女子大名誉教授(災害リスク学)
◇「九電側の主張の丸写し」
災害は発生時期や規模の予測ができないということを甘く見た判決。原子力規制委員会が再稼働を承認しているものに文句を言っても仕方がないとする内容で、九州電力側の主張の丸写しだ。原発を最大限活用すると打ち出した政府のエネルギー基本計画に、そのまま乗っかるような司法判断だ。
◇橘川武郎・国際大学長(エネルギー産業論)
◇「国は反原発派の意見くみ取る仕組み作りを」
国の新たなエネルギー基本計画ができたばかりで、その流れに沿ったような判断であり、予想通りだ。同種訴訟では、原発の安全性を欠いていることについて、原告側に立証責任があるとする判断が定着しているが、原告側の情報量では厳しく、訴えはなかなか認められない。ただ、国はエネルギー基本計画の改定審議などの場で、もっと反原発派の意見をくみ取れるような仕組みも作るべきだ。
◇川内原発
鹿児島県薩摩川内市にあり、1号機は1984年7月、2号機は85年11月にそれぞれ営業運転を開始した。いずれも出力89万キロワットの加圧水型軽水炉(PWR)。2011年の東京電力福島第1原発事故後に2基とも停止したが、14年に国の新規制基準の適合性審査に全国の原発で初めて合格し、15年に再稼働した。3号機の増設計画もあるが、手続きは進んでいない。24年7月に1号機が最長20年の運転延長期間に入り、2号機も25年11月に運転延長となる。原発周辺30キロ圏内の人口は約20万人。
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