春闘明暗 医療、介護の組合は賃上げなしのゼロ回答続出 全国でスト

2025/03/13 12:32 

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 2025年春闘は山場の12日、大企業を中心に満額回答が相次いだが、同日に交渉した医療や介護労働者の組合では賃上げなしのゼロ回答が続出し明暗が分かれ、13日には各地で医療労働者などがストライキに入った。東京都内では国立病院機構の東京医療センター(目黒区)などで指名ストに入り、医療労働者の産別組合の医労連によると、労組の支部によるスト決議は1000を超え、多くの支部がストに入ったという。【東海林智】

 国立病院機構の労組「全医労」(前園むつみ委員長)によると、12日の労使交渉では、基本給4万円、非常勤職員の時給250円の賃上げ要求への回答はゼロだった。地域手当や寒冷地手当の見直しが実施されれば、実質賃下げになる者もいるとして見直しの撤回も求めたがこちらもゼロ回答だった。組合は24年度の賃金交渉がまだ決着がついていないとして、「低賃金では退職者が続出し、地域医療を維持できない」と、120支部で組合員2人が1時間の時限ストに入った。

 医労連によると、民間病院を含む多くの組合でゼロ回答や100円単位の低額回答が多発した。多くの支部が、全面ストや指名ストなどさまざまな戦術のストライキに入った。森田進副委員長は「経済動向で収益が上がるわけではない医療などケアワーカーは、大企業のような大幅賃上げの回答はない。命を守る仕事を軽視しないでほしい」と訴える。

 東京医療センターでは、先月28日に続き、第2波の指名ストを実施。スト参加者の組合支部長で看護師、上野美優さん(37)は「ゼロ回答などあり得ない。私たちの仕事が軽んじられていると痛感する」と怒りをあらわにした。全医労によると、全国の病院で25年度のスタート時に採用予定の4480人のうち内定が出ているのは3375人で、1000人を超える人員不足が発生しているという。

 国立病院機構は「団交では厳しい経営状況などを説明したが、理解してもらえずストになった。患者様に影響が出ないよう対応したい」と話している。

毎日新聞

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