女性議員3割がハラスメント被害 同僚や有権者から 奈良・アンケ
毎日新聞が2月に奈良県内の女性議員の一部を対象にアンケートを実施したところ、活動中にハラスメントを受けたことがあると回答した議員が約3割に上った。男性の同僚議員や有権者からハラスメント行為を受けても、相談できる場所がなく、1人で抱え込んでしまった事例もあった。議員の尊厳を守る早期の対策が求められる。
アンケートの対象は県議会と人口10万人以上の奈良、橿原、生駒の3市の女性議員計26人。6日までに22人から回答を得た。
議員活動中にハラスメント(セクハラ、パワハラ、マタハラなど)を受けたと回答したのは27%。具体的に内容を記してもらったところ、「他党の関係者からのボディータッチがあった」「横に並んでいた女性議員と見比べられ、男性議員から『あなたのお尻の方が大きいなあ』と言われた」など議員からの被害を指摘する声があった。さらに有権者からの被害の声も多かった。「『女なのになぜ議員になったのか』と市民に言われた」「『働く女性は家事育児が苦手』と行政職員に言われた」など言葉の暴力だけでなく、「『抱きつきたい』と市民から言われた」「『ご飯行ってくれないと票を入れない』と言われた」「会ったこともない市民から、SNSで卑わいな内容のメッセージが届いた」など、より深刻なケースも見られた。
一方、選挙期間中になると、どう変わるのか。ハラスメントを受けたことがあると回答したのは23%。当選に向け議員が選挙活動に必死であることを逆手に取った悪質な事案が目立った。具体的には「『女性だから票が入る』と言われた」「電話やSNSで卑わいな言葉を投げかけられた」「握手を求められ、なかなか離してもらえなかった」――など。「街頭演説のたびに、同じ男性有権者が何度も手を握りに来るため演説自体を止めないといけなくなった」と実際に選挙活動に悪影響が出たケースもあった。
◇相談できない議員も
ハラスメントを受けた際に、議員はどう対処したのか。具体的な方法を記してもらったところ「同僚議員から相手に注意を促してもらった」「事務局やスタッフに相談して、電話やSNSの連絡をブロックした」などと、周囲に相談することで対処できた議員が数人いた。
一方で公にできず被害に耐えるしかない議員も多く「精神的な苦痛があったが、どこにも頼れなかった」「当時は笑って受け流すしかなかった」との声も目立った。議員だからこそ「市民相手だとむげにもできないため困った」との悩みも深かった。「ハラスメントに遭った際の相談者に指定されている議員から怒鳴られるなどのパワハラを受けたため、相談できなかった」という難しい事例もあり、議会全体でハラスメントを防げる仕組みを構築する必要性も浮き彫りになった。
内閣府男女共同参画局が地方自治体を対象に実施した調査(2024年度)によると、議員のハラスメント防止取り組みの規定や指針がある議会は奈良市と高取町のみ。議員の中には「ハラスメントに関する議員向けの第三者の相談窓口の設置」を望む声は多いものの、実際に設置している議会は県内にない。【木谷郁佳】
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