日本郵政の顧客情報の不正流用、998万人分に拡大 役員は減給処分

2025/03/18 20:20 

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 郵便局がゆうちょ銀行の顧客情報をかんぽ生命保険の保険営業に不正に流用していた問題で、日本郵政グループは18日、顧客から事前に同意を得ずに流用した事案が推定で延べ998万人分に拡大したと発表した。増田寛也社長らグループ各社の役員14人の報酬を減額する処分も公表。金融庁は同日、グループ各社に対し、保険業法などに基づく報告徴求命令を出した。

 日本郵政の一木美穂常務は「ご不安、ご心配をおかけし、深くおわび申し上げる。再発防止策を徹底し、お客様本位のサービス提供に全力を挙げて取り組む」と謝罪した。役員報酬の減額処分は、増田社長が25%、日本郵便の千田哲也社長が30%、かんぽ生命の谷垣邦夫社長が25%、ゆうちょ銀行の笠間貴之社長が20%で、それぞれ3カ月間。

 不正では、ゆうちょ銀行が管理する口座残高や取引記録などの貯金情報を、郵便局が顧客から事前の同意を得ずに利用。リストを作成してイベントなどに誘い、郵便局窓口でのかんぽ保険の勧誘に利用していた。2024年10月時点では対象者は約155万人と発表していたが、追加調査で、投資信託の営業用に約775万人、国債に約52万人、かんぽ以外の保険で約16万人の流用が新たに判明した。確認できたのは14年2月以降だが、民営化した07年から不正が続いてきたとみられるという。今後、同意情報を郵便局で確認できるシステムを整備するなどして再発防止を急ぐ。

 このほか、顧客167人に対し、認可取得前の保険商品を説明する勧誘行為をしていたことも判明した。保険業法に違反する行為で、金融庁はこの件でも報告徴求命令を出した。他に同様の事案がないか自社調査するという。【藤渕志保】

毎日新聞

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