ガザ、医薬品不足で死者拡大か 空爆再開、人道危機さらに深刻化

2025/03/18 20:30 

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 イスラエルが18日にパレスチナ自治区ガザ地区での本格的な戦闘を再開したことを受け、中東諸国などから非難の声が上がっている。ガザのイスラム組織ハマスと対立するイスラエルは、今月2日以降、ガザへの人道支援物資の搬入も止めており、医薬品などの不足で今回の死者数が拡大しているとみられる。

 ロイター通信などによると、仲介国エジプトは声明で、イスラエルの空爆は「停戦合意違反」だと批判し、全ての当事者に自制を呼びかけた。トルコ外務省は、イスラエルが「ジェノサイド(集団虐殺)政策の新たな段階に進んだ」と強く非難した。

 国連のトゥルク人権高等弁務官は「悲劇的な状況に苦しむパレスチナ人にさらなる苦痛を与えるだけだ」と批判。イスラエル国内の人質家族らで作る団体は、空爆は拘束中の人質を危険にさらすと訴え、抗議デモを呼びかけた。

 ガザ地区では今回の空爆で、人道危機がさらに深刻化する懸念が強まっている。

 北部ガザ市にあるシファ病院の院長は中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」に対し、「物資不足のため毎分、負傷者が死んでいる」と語った。ガザ北部に集中治療室は4床しかなく、輸血用の血液も枯渇しているという。

 18日の空爆はガザ全域に及んでおり、多くの人が崩壊した建物の下に閉じ込められた可能性がある。だが、重機や燃料の不足により、救出作業は難航している模様だ。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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