佐賀オスプレイ配備 工事差し止め認めず 福岡高裁が抗告棄却

2025/03/31 13:43 

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 陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイを佐賀空港(佐賀市)に配備する計画を巡り、反対する漁師らが建設中の佐賀駐屯地(仮称)の工事差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、福岡高裁(久留島群一裁判長)は31日、申請を却下した佐賀地裁決定(2024年3月)を支持し、漁師らの抗告を棄却する決定を出した。

 仮処分は「オスプレイ反対住民の会」の古賀初次会長ら地元の漁師や元漁師計4人が23年8月に申請。駐屯地用地の所有権が漁師らにあるといえるかが争点だった。

 駐屯地用地は、もともと国の干拓事業で造成された土地で、過去に売却が繰り返された経緯がある。まず佐賀県が佐賀空港用地として国から干拓地を取得。その後、地元漁協(現・県有明海漁協)に売却したが、駐屯地建設のために国(防衛省)が再び取得に動き、漁協が売却に応じた。

 漁師らは、漁協が県から取得した際、干拓事業の補償として土地の所有権が組合員に配分されたとし「組合員の共有地だ」と主張。組合員全員の同意を得ずに漁協が結んだ土地の売買契約は無効と訴え、工事の差し止めを求めた。

 一方、国側は「干拓地は漁協の単独所有で組合員の共有地ではない」と反論していた。

 佐賀地裁決定は売却の経緯を踏まえると「組合員の共有地とするのは困難」と判断して申請を却下したため、漁師らが即時抗告していた。【志村一也】

毎日新聞

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