市立小全校で1、2年生の通知表廃止 今年度の新入生から 岐阜・美濃

2025/05/02 19:07 

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 岐阜県美濃市は市立小学校全5校で、1、2年生の通知表を廃止することを決めた。今年度入学した新入生145人からが対象になる。市教委の担当者は「1、2年生の発達段階を踏まえると、通知表の成績にこだわるより、のびのびと育てることを大切にしたい」と説明している。

 市長や市教育委員らでつくる市総合教育会議の提案を受け、校長会で話し合い廃止を決めた。4月25日に開いた各小学校の懇談会で保護者に説明したところ、好意的な意見が多かったという。

 美濃市立小が学期末に配布している通知表では、教科ごとに、学習に向かう姿勢や理解度などを「◎」「◯」「△」の3段階で評価している。児童の間では記号の数ばかりが話題になることが多く、学校で友だちと比べて劣等感を感じ自信や意欲を失ったり、仲間関係の序列につながったりすることを懸念する声もあった。

 廃止に伴い、担任教諭は年2回の保護者との個別懇談の場で、学習や生活の状況を伝えるほか、年度末には所見を記載した修了証を配る。3年生以上には通知表の配布を続ける。

 島田昌紀・市教育長は「一般的に、通知表を見た保護者は『ここをもっと頑張れ』と、できないことを指摘してしまいがち。それより懇談などで子どもの良さを伝えられ、褒められることが自信につながる。この時期の子どもたちは、人と比較されることなく、のびのびと学校生活を送ってほしい」と期待する。

 通知表の廃止は、神奈川県や長野県などの公立小中学校で個別に行っているが、市立小の一斉実施は珍しいという。【稲垣洋介】

毎日新聞

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