徳島県公立高入試で合格最低点に差 居住地によって平均46.5点

2025/05/14 15:24 

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 入学試験では1点を争い、受験生がしのぎを削る。だが、ライバルの受験生に対し、500点満点で50点近いハンディキャップを背負わされ、それが居住地故に余儀なくされた厳しい戦いだったら――。

 今春実施された徳島県公立高校普通科(全日制)一般入試を巡り、徳島市内4校について、受験生の居住地(学区)によって、合格最低点に平均46・5点の差があったことが県教育委員会の集計で判明した。過去10年では最少だが、満点(500点)の1割近い差が依然あり、受験生間の不公平感解消にはほど遠い。

 徳島県の公立高校普通科には通学区域制(学区制)が導入されており、県内は3学区に分けられている。受験生の合否は、主に学力検査や面接、調査書の内容で決まるが、別の学区から挑む受験生の場合、募集定員に対する上限率という「壁」が加わる。

 人気の高い徳島市内の4校(城南、城北、徳島北、徳島市立)については、同市(第3学区)や周辺の5町村に住む生徒なら制約はないが、6市町村以外に住む生徒の場合は城南、城北、徳島北の3校は定員の12%、徳島市立は8%までとされている。

 このため、成績上位者から合否を判定する際、6市町村以外の合格者が定員の12%か8%に達すると、あとは6市町村内の受験生から合格者を決めるため、「試験結果が良くても不合格、試験結果が悪くても合格」という“逆転現象”が生じることとなる。

 第1、第2学区の高校でも学区外からの生徒は定員の20%や12%を上限と定めているが、今春入試では、学区外受験生は多くなく、学力検査などの結果だけで合否判定された。

 合格最低点の差が今春、大きく縮小した点について、県教委は「昨年度は学区制の議論が(県内で)あり、受験生への心理的な影響や進路指導なども変容があったかもしれない。分析が必要だ」と説明している。

 公立高校入試を巡り、受験生の学区によって合格最低点に差が生じている問題は、第1、第2学区の受験生や保護者の間で不公平感を生じる一因となってきた。遠距離通学など生徒や家庭の負担を減らすといった狙いもあるが、受験を控えた子どもを持つ家庭が「第3学区」の徳島市などへ転居し、人口減の一因となっているとの指摘もある。批判を受けて、県教委は昨年度実施した外部有識者会議での議論を踏まえ、今年3月、学区外生徒の上限率を徐々に拡大するとともに29年春の高校入試から学区制を撤廃すると決めている。【植松晃一】

毎日新聞

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