「ガザを見殺しにするな」 ナクバの日、全国各地で抗議デモ

2025/05/15 21:53 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 1948年のイスラエル建国に伴い、約70万人のパレスチナ人が故郷を追われて難民となった「ナクバ(大惨事)」の日の15日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻に抗議するデモが大阪や広島など各地であった。

 大阪・関西万博会場(大阪市此花区)の東ゲート前では、集まった市民らが「虐殺やめろ」などと書かれたプラカードやパレスチナの旗を掲げて抗議した。一方、万博会場ではこの日、イスラエルについて紹介する「ナショナルデー」の式典が開かれた。出席したイスラエルのサール外相は、イスラム組織ハマスが現在も58人を人質として拘束していると強調。「全員を故郷に帰すまでは休まない」と述べた。デモに参加した大阪府高槻市の吉本草蔵さん(44)は「イスラエルはナクバの日にナショナルデーを開き、歴史を上書きしようとしている」と批判した。

 イスラエルは2023年10月、ガザ地区を統治するハマスの越境攻撃への報復として大規模侵攻を開始。5万人超のパレスチナ人が犠牲となっている。1月に停戦で合意したが、イスラエルは3月に攻撃を再開した。ガザではイスラエルによる封鎖で支援物資の搬入が止まっており、国連は住民が飢餓の重大な危機に直面していると警告。人道危機が一層深刻化している。

 広島市中心部でも、市民グループ「広島パレスチナともしび連帯共同体」の呼びかけで集まった約10人が「ガザを見殺しにするな」などと書かれたプラカードを掲げて抗議した。

 メンバーは「食べ物や薬がなく苦しんでいる人がいる」「パレスチナを一刻も早く解放しろ」などと声を上げた。参加した広島市安佐北区の金井良樹さん(34)は「ガザ地区の問題は人ごとではない。苦しんでいる人たちがいることを知ってもらいたい」と話した。【矢追健介、井村陸】

毎日新聞

社会

社会一覧>