「ノートにアイデア書けば創造性伸びる」 久留米大教授が研究発表へ

2025/05/16 07:45 

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 福岡県の久留米大文学部情報社会学科の川路崇博教授が「ノートにアイデアを毎日書くだけで、多くの場面で創造性が伸びる」とデータで実証する研究をまとめた。同種の過去の研究とまとめ、米国の南オレゴン大で開かれる創造力に関する国際会議で現地17日に発表する。

 使ったのは創造・発想の訓練法「アイデアマラソン」。思いつきや気付きをノートに毎日一つ以上書く方法で、三井物産社員だった樋口健夫氏が提唱し、企業研修や教育現場に広がっている。

 川路教授は2024年度の新入生全50人の授業に導入。週ごとに考えるヒントを三つ与え、学生からは書いた数とベストアイデアを提出させコメントを返した。創造力の評価には「応用力」「生産力」「空想力」に加えて、思考の「速さ」「広さ」「独自さ」「入念さ」という場面ごとの特性と、総合点を計るSーA創造性検査(東京心理版)を使い、開始前と3カ月後のデータを比較した。

 その結果、応用力、生産力、空想力のすべてで大きく向上。思考特性では「入念さ」「速さ」が大きく向上したが、「広さ」「独自さ」の伸びは小さかった。また参加者を偏差値で分けて分析すると、下位グループは全項目で大きく伸びたが、上位グループの伸びは小さく低下した項目もあった。

 川路教授は「社会に出て重要な創造力は、学力や成績と同じではなく、誰でも持てる。伸びを計るのに3カ月では短かったかもしれないが、一方で思考の『広さ』『独自さ』を伸ばす支援方法が問われる」と話した。

 論文は紀要に掲載され、7月までには久留米大学機関リポジトリでネットでも読める見込み。【前田博之】

毎日新聞

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