知床観光船事故 被害者家族が初の洋上慰霊に出航 現場で献花へ

2025/07/13 05:32 

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 北海道・知床半島沖で2022年4月に乗員乗客26人が犠牲になった観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、被害者家族が13日午前、事故現場近くの洋上で犠牲者に献花し、慰霊する。洋上慰霊を営むのは初めてで、被害者家族を乗せたチャーター船が同日早朝、斜里町のウトロ漁港を出航した。

 洋上慰霊は、事故直後から遺体や遺品を発見してきた地元ボランティア捜索隊が「人目を気にせず、被害者家族だけで静かに慰霊できる機会を作ってあげたい」と企画。全国から寄付を募り、船のチャーター費や家族の交通・宿泊費など1400万円超を調達した。

 参加するのは、死亡・行方不明となった乗客14人の家族ら約40人。遺体が見つかった文吉湾の海岸や知床岬の先端部を巡った後、カズワンが沈没した「カシュニの滝」近くの現場で洋上から献花する。

 事故を巡っては24年10月、釧路地検がカズワンの運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(62)を業務上過失致死罪で起訴。初公判の見通しは立っておらず、乗客家族らが同社と桂田被告に約15億円の損害賠償を求めた訴訟は札幌地裁で争われている。

 犠牲者26人のうち、20人は死亡、6人は行方不明のまま見つかっていない。【伊藤遥、和田幸栞】

毎日新聞

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