「刀剣乱舞」描き手が描いた頼朝と巡る史跡 きっかけは一通の手紙

2025/07/14 16:48 

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 富士山のふもとで繰り広げられた史実ゆかりの地を若い世代にも訪ね歩いてもらおうと、静岡県富士市は人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」のイラストレーターの一人、シラノさんが描いた源頼朝と曽我兄弟が登場するデジタルスタンプ型史跡ラリーを28日からスタートする。3人ゆかりの「聖地巡礼」をした参加者にはオリジナル缶バッジなどがプレゼントされる。

 富士山南側のふもとは平安末期から鎌倉初期にかけて、▽水鳥の羽音を奇襲と勘違いした平家軍が撤退して頼朝が勝利したとの逸話がある「富士川の戦い」▽頼朝の権威の象徴とされた軍事演習「富士の巻狩り」▽赤穂浪士の討ち入りと並んで知られる「曽我兄弟の仇(あだ)討ち」――などの舞台になった。

 今回の企画のきっかけは、地元高校の女子生徒から小長井義正市長宛てに届いた一通の手紙だった。「刀剣乱舞ONLINE」に、シラノさんが擬人化して描いた頼朝や曽我五郎時致(ときむね)(弟)の刀が出てくることから、「史跡の活性化に生かせないか」と提案する内容だった。

 市文化財課がこの提案を発展させて史跡ラリーを企画した。頼朝らのキャラクターデザインはシラノさんに依頼し、装束も「吾妻鏡」などの書物を参考にリアルに再現してもらったという。史跡ラリーのイベント名は「3人が富士山のふもとで時代を彩り紡いだストーリーの現場をたどる旅にしてほしい」(同課)との思いを込めて「富嶽綺譚(ふがくきたん)」と名付けた。

 史跡めぐりの対象となるのは、頼朝が戦いや巻狩りの後に鎧(よろい)を岩に掛けて川の水で体を洗ったとされる「鎧ケ淵」や、富士川の戦いで平家軍が敗走した場所とされる「平家越」、父の敵討ちを果たした後に相手の息子に殺された「五郎の首洗い井戸」など21カ所。

 参加するには同県公式観光アプリ「TIPS」を利用する。最低2カ所の史跡を訪ねてデジタルスタンプを獲得すると3人がそれぞれ描かれた缶バッジが、スタンプを10個集めるとオリジナルクリアファイルがそれぞれ所定の配布施設でもらえる。史跡ラリーは2026年3月1日まで。【丹野恒一】

毎日新聞

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