歌舞伎俳優の片岡我當さん死去 90歳 現仁左衛門さんの兄

2025/07/17 20:37 

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 重厚な役柄に魅力を発揮した歌舞伎俳優の片岡我當(かたおか・がとう、本名・片岡秀公=かたおか・ひできみ)さんが5月11日、肺炎のため亡くなった。90歳。密葬を営んだ。

 上方歌舞伎の名門松嶋屋の十三代目片岡仁左衛門の長男。1940年に本名で初舞台を踏み、71年に五代目我當を襲名した。若き日は東京の尾上菊五郎劇団で修業し、60年代の関西での歌舞伎衰退期にあっては父の自主公演である「仁左衛門歌舞伎」に参加し、上方の古典を学んだ。

 豊かな声量を持ち、あたり役には「修禅寺物語」の夜叉王(やしゃおう)、「壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」の工藤祐経などがある。古典の復活にも積極的で「木村長門守」「時平(しへい)の七笑(ななわらい)」など埋もれていた演目を世に出した功績は大きい。長男は歌舞伎俳優の片岡進之介さん。二代目片岡秀太郎、現仁左衛門さんは弟。2014年12月に京都南座の「吉例顔見世興行」に出演中に倒れ、療養を続けていた。最後の舞台は20年2月の東京・歌舞伎座「八陣守護城」の佐藤正清だった。05年旭日双光章受章。

毎日新聞

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