猫の皮脂で感染症ウイルス検出に成功 人にもメリット 宮崎大など

2025/09/04 15:39 

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 宮崎大(宮崎市)などは3日、市販のあぶらとり紙(フィルム)で採取した猫の皮脂を利用して、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など感染症ウイルスの検出に成功したと発表した。SFTSは人獣共通感染症で、研究グループは、血液採取を伴わず、診療現場での感染リスク低減につながるとしている。

 同大農学部獣医学科の斉藤暁(あきつき)准教授らは、あぶらとりフィルムで採取したヒトの皮脂に含まれる遺伝物質のRNA(リボ核酸)を解析する花王(東京都)の技術に着想を得て、猫に応用した。

 あぶらとりフィルムを使って採取した猫の皮脂からSFTSウイルスと、「猫エイズ」とも呼ばれる猫免疫不全ウイルス(FIV)のRNA検出に成功した。

 また、猫の複数の部位から検体を採取し比較した結果、最適なのは耳だと特定した。さらに、検体数が確保できたFIVについては血液検査と同等の検出感度を確認できたとしている。

 獣医師らによる猫の診療現場では、血液検査に注射針を使用し、猫の負担が大きいだけでなく、検査する側にも感染リスクやけがの危険が伴う。三重県では5月、猫の治療に当たった獣医師がSFTSに感染し、死亡している。

 斉藤准教授は「採血が難しい場合などに活用でき、検査の安全性が向上する。SFTSについても検体数を増やして検証を進めたい」と話した。【下薗和仁】

毎日新聞

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