申告漏れ指摘の京都JA会長「処分理由全く違う」と不服申し立て

2025/09/28 21:28 

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 JAグループ京都(京都市)の中川泰宏会長(74)と、中川氏の親族が経営する複数の会社が計約8億円の申告漏れを国税当局から指摘されたことを巡り、中川氏は28日、処分の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求したと明らかにした。「(国税当局の)処分の理由に書いてあることが全く違う」と述べた。

 国税当局は中川氏と中川氏のファミリー企業に対し2024年ごろまでの7年間で、中川氏に約3億円、ファミリー企業に対して約5億円の申告漏れを指摘。重加算税を含む約5億円を追徴課税したとされる。

 28日に京都府内で記者会見を開いた中川氏によると、国税当局から指摘を受けたファミリー企業は計7社あり、受注した解体工事を巡って架空の売り上げや外注があったとされたという。中川氏はファミリー企業の役員に就いていなかったものの、中川氏が実質的な経営者であり、中川氏に資金が渡っていたと判断されたという。

 中川氏は会見で、ファミリー企業は数十年前に作られた会社で、税理士から全く問題ないと言われていたのに、国税側が「推定」で計算した結果、申告漏れを指摘されるに至ったとした。

 自身が計約3億円を受け取っていたとされる点については「(利益は)絶対受けていない。推定、推定、推定。そんなもんなくても年俸5000万円くらいある。全部申告しとる」と述べた。

 偽の領収書を発行してもらい、ファミリー企業が外注費を水増ししたとされる指摘に対しては「知らない。あり得ない。どこで水増しするねん」と説明。そもそも、ファミリー企業の経営には関与していないと反論した。

 ファミリー企業はJA関連の工事を下請け受注しているが、「(ファミリー企業の)営業でしょ」と自身の関与を否定した。

 中川氏は、京都府内の五つの農協でつくるJAグループ京都(組合員約14万人)のトップに立つが、役職を退く考えはないとも語った。

 国税不服審判所は、国税当局の処分に対する不服申し立てを第三者的立場で審理する機関で、双方の主張を聞いて裁決をする。裁決にさらに不服があれば、裁判所に対して処分取り消しを求める訴訟を起こすこともできる。

 中川氏は国税当局から追徴された課税について「納付していない」と明かし、「裁判まで考えている。(国税当局の)やることめちゃくちゃやもん」と訴訟も辞さない姿勢を示した。【飯塚りりん、水谷怜央那】

毎日新聞

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