旧三笠ホテルの一般公開、5年9カ月ぶりに再開へ 長野・軽井沢町

2025/09/30 10:15 

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 長野県軽井沢町は10月1日、リニューアル工事が完了した旧三笠ホテルの一般公開を5年9カ月ぶりに再開する。土屋三千夫(みちお)町長は「保存と活用を両立させ、軽井沢の魅力を発信する重要拠点になる。特に冬季の集客に期待している」と話した。

 設計と施工全てを日本人が手掛けた木造2階建ての洋式ホテル(建築面積514平方メートル)で、1905年に完成、06年開業。福井県出身の実業家が建てた。現存する純洋式木造ホテルでは、札幌市にある豊平(ほうへい)館(1880年に本館完成)に次いで古いとされる。

 1925年に食料品販売などを手掛ける明治屋が買収するなど、所有者は変遷。終戦後は52年まで米軍が接収した。70年にホテル営業を終了。日本長期信用銀行から軽井沢町に寄贈された80年に国の重要文化財に指定され、83年に内部の一般公開を始めた。

 2019年末から休館し、20年1月に耐震や保存修理工事を開始。建物は増改築や改装を重ねており、大正末期~昭和初期(1920年代ごろ)の姿に戻した。想像以上に傷みが激しかったり、復元に時間がかかったりして工期は5年半に及んだ。最初の予定になかったエレベーターなどを設置したほか、資材や人件費の高騰もあり、総事業費は当初予定の倍近い24億3600万円となった。

 復元前は年間約7万人が訪れた。今回、貸室2部屋やギャラリー、売店、カフェ、資料展示室も設け、古い時代の調度品も置いた。

 9月26日には報道機関向け内覧会があった。一般公開は10月1日午後2時から。入館料は大人1000円、小中学生500円。日比谷花壇(本社・東京都港区)が運営する。問い合わせは同ホテル(0267・48・6341)。【去石信一】       

毎日新聞

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