陸自災害用ドローン40機、配備後「使用できない状態」 検査院指摘

2025/10/02 17:00 

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 陸上自衛隊に配備されている災害用ドローン(無人航空機)の使用状況を会計検査院が調べたところ、「UAV災害用I型」という機種の全40機が配備から約5年間、「使用できない状態」であったことが判明した。電波利用の申請手続きの遅れが原因で、2024年1月の能登半島地震の際は類似性能を持つ別の機種で対応したという。

 陸自は、災害用ドローンを北海道から関東、九州まで全国各地の駐屯地などに配備。大規模災害などの際、孤立した集落の情報収集や人命救助活動に役立てることを想定している。

 「I型」は20年以降、20式・計40機(調達費用約7480万円)が配備されており、検査院が使用状況を調べた結果、今年1月時点で40機とも「使用できない状態」だった。

 ドローンの運用には総務相から電波利用の承認を得なければならない。だが「Ⅰ型」については、周波数情報が申請時に必要なことを納入業者に伝えていなかったため手続きに時間がかかり、さらに承認を受けた後に周波数情報の誤りも判明したという。

 検査院は2日公表の報告書で「必要な周波数情報を適時かつ確実に把握する重要性についての理解が十分でなかった。(災害用ドローンが)災害に対処できるものでなかった事態は適切でない」と指摘した。「I型」は今年7月から全40機が使用可能になった。

 防衛装備庁は「同様の事態が生じないよう再発防止に努める」とコメント。自衛隊は6月末時点で約650機の災害用ドローンを保有し、別の機種で同様のトラブルは確認されていないという。【山田豊】

毎日新聞

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