JR東海に初の排除措置命令へ 跨線橋点検の入札情報、事前入手か

2025/10/03 02:00 

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 跨線橋(こせんきょう)の点検業務を巡る入札で談合をしたとして、公正取引委員会は2日、JR東海(名古屋市)など計6社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、再発防止を求める排除措置命令を出す方針を固めた。同社を除く5社に対しては計約1億円の課徴金納付も命じる方針。関係者への取材で判明した。

 JR東海は入札に参加したり、直接受注したりした実績はないが、談合の成立に重要な「交通整理役」を担ったとされ、公取委は排除措置命令の対象にする模様だ。同社への同命令は初とみられる。

 課徴金納付命令などを受けるのは、JR東海が100%出資するジェイアール東海コンサルタンツ(名古屋市)▽大日コンサルタント(岐阜市)▽トーニチコンサルタント(東京都渋谷区)▽日本交通技術(同台東区)▽丸栄調査設計(三重県松阪市)――の5社。

 JR東海を含む6社は遅くとも2021年2月ごろ以降、東海地方の自治体などが実施する指名競争入札などの予定を事前に把握し、情報を交換。JR東海が各社の受注希望を「リスト」に取りまとめるなどして受注調整したほか、入札に参加する会社や各社の応札価格も調整したとされる。

 談合は愛知県や岐阜県、長野県などに所在し、JR東海の管理下の路線に架かる跨線橋が対象となり、各社はそれぞれ希望する場所の点検業務の受注をもくろむなどしたという。

 公取委は24年10月に独禁法違反の疑いで立ち入り検査をし、JR東海の丹羽俊介社長は同月末の定例記者会見で「重く受け止め、全面的に協力する」などと話していた。

 跨線橋の点検業務は劣化状況などを把握し、自動車や歩行者の安全を確保するのが目的。自動車用は12年に9人が死亡した中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故を受けて定期的な点検が義務化され、歩行者用については各自治体の判断に委ねられている。【山田豊】

毎日新聞

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