英中部マンチェスターで２日、シナゴーグ（ユダヤ教会堂）の前にいた人々に車が突っ込み、さらに刃物による襲撃もあった。地元警察によると、２人が死亡し、３人が重体。容疑者の男は駆けつけた警官に射殺された。

　この日はユダヤ教の祝日「ヨムキプール」（しょく罪の日）で、シナゴーグには多くの信者が集まっていた。捜査当局が現場の詳しい状況や犯行の動機などを調べている。

　英メディアが報じた、事件現場で容疑者を撮影したとみられる画像には、防弾チョッキのようなものを着用し、爆発物の可能性があるものを腰からぶら下げた様子が写っている。

　英ＢＢＣ放送によると、スターマー英首相は、欧州諸国の首脳会議のためデンマークを訪問中だったが、予定を切り上げて帰国する。全国のシナゴーグで警備を強化する方針を示し、Ｘ（ツイッター）には「衝撃を受けている。ユダヤ暦で最も神聖な日に起きたということがさらに恐ろしい」などと投稿した。

　英国のユダヤ系人口は約３０万人で、総人口約６９００万人の約０・４％。ユダヤ系に対するヘイトクライム（憎悪犯罪）は近年増加傾向にあり、英内務省によると、２０２４年３月末までの１年間で３２８２件と前年から倍増した。

　英メディアによると、今年に入ってからロンドンやマンチェスターなどのシナゴーグで、ユダヤ系市民への暴力事件や侵入事件が相次いでいる。【ロンドン福永方人】