イスラエル軍、グレタさんらを送還へ 各地で船団員の解放求めるデモ

2025/10/02 19:15 

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 イスラエル軍は1日夜から2日にかけ、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんらを乗せパレスチナ自治区ガザ地区へ向かっていた「グローバル・スムード船団」(GSF)の船約40隻を拿捕(だほ)し、乗員を拘束した。ロイター通信などが報じた。イスラエル外務省によると、遠方を航行する1隻を除き、すべての船は「封鎖を突破できなかった」という。グレタさんら拘束された乗員にけがはなく、イスラエルへ移送後、送還手続きを始めるとしている。

 ガザに支援物資を届けるため、人権活動家ら約500人が約45隻の船に分乗し地中海を航行中だった。ロイター通信などによると、1日夜にガザから約70カイリ(約130キロ)まで近づき、2日午前にはガザの港に着く見通しだった。

 GSFなどによると、イスラエル軍の艦艇が1日夜、公海上で複数の船に接近し、兵士が乗り込んできたという。グレタさんはこの直前、交流サイト(SNS)に投稿された動画で「違法で非人道的な(ガザの)封鎖を破るために乗船しているが、今夜イスラエルに妨害される可能性が高い」と語っていた。

 船上に設置されたカメラで実況動画を配信していたが、拿捕される直前に配信が途絶えた。イスラエル軍による電波妨害とみられる。グレタさんらを乗せた船では、乗員が車座になっていたが、しばらく配信が途切れた後、無人の甲板が映し出された。

 船団にはオランダ在住の日本人女性も参加。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、女性が乗っていたとみられる船も放水を受け、拿捕された。

 別の船のカメラには、銃を持った兵士が続々と乗り込み、乗員が両手を上げる様子が映っていた。国連海洋法条約では、自国の主権が及ぶのは沿岸から12カイリ(約22キロ)の領海内だけで、公海ではすべての国に航行の自由が認められており、GSFはイスラエル軍の行為を非難している。

 GSFは9月下旬、リビア沖付近で無人機(ドローン)によるとみられる攻撃を受けたと発表した。スペインとイタリアが一時、護衛のため海軍の船を派遣し、トルコもドローンを飛ばして監視を行った。

 AP通信などによると、トルコ外務省は1日、「テロ行為」だと非難する声明を発表し、乗員の即時解放を要求。自国民が拘束されたコロンビアのペトロ大統領はX(ツイッター)で、イスラエルとの自由貿易協定を破棄し、外交団を追放すると述べた。イタリアやギリシャなど各地で抗議デモも起きている。

 グレタさんらは6月にも船でガザを目指したが、イスラエル軍に拘束されて国外退去となった。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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