中国の思想家の言葉が導いた栄誉 ノーベル賞北川進さんの座右の銘

2025/10/09 11:27 

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 ノーベル化学賞の受賞が決まった京都大特別教授の北川進さん(74)が8日夜、毎日新聞の単独インタビューに応じた。

 「座右の銘はいっぱいある」としつつ、記者が渡した色紙に記したのは「無用の用」。中国・戦国時代の思想家、荘子の言葉で、一見意味のないようなものでも実は重要な役割を持っているという意味だ。

 出会いは京都大工学部1年生の時、書店で何気なく手にした湯川秀樹さんの著書だった。「ひねくれていて面白い」。以来50年以上、研究成果が周囲から批判を浴びても自らを突き動かした原動力となった。

 同時に、この言葉は若い研究者へのエールでもあるという。「みんな役に立つことにはすぐ飛びかかっていく。でも、役に立たないって言われているものの方が案外チャレンジングで面白いんじゃないかとね」

 2300年以上前の言葉に導かれた今回の世界的栄誉。「科学は我々の生活において切っても切れないもの。その中で新しい材料を作って、環境を変えていくことがものすごい大事だと思います」と力強く語った。【中村園子】

毎日新聞

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