<袴田巌さん再審>虚偽の自白に捏造… 袴田巌さん提訴、核心は「原因究明」
1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害された事件で、再審無罪が確定した袴田巌さん(89)が9日、国と県を相手取り約6億円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。逮捕・起訴した警察・検察に加えて、死刑判決を出して一度は確定させた裁判所の責任も問うた。冤罪(えんざい)の原因究明を訴訟の核心と位置づける。
静岡地裁の再審無罪判決(2024年9月)は、犯行時の犯人の着衣とされた「5点の衣類」は捜査機関により捏造(ねつぞう)されたものだと認定し、袴田さんに無罪を言い渡した。
袴田さん側は訴状で、逮捕した静岡県警は1日10時間を超えるなど非人道的な取り調べを連日行い、虚偽の自白を作り上げたと主張。66年11月の初公判で袴田さんが一転して無罪を主張すると、県警は無罪を回避するために5点の衣類を捏造。静岡地検は警察の捏造を認識した上で証拠として利用したとしている。
静岡地裁は68年9月に死刑判決を言い渡し、東京高裁、最高裁も無罪主張を退け、80年に死刑が確定した。袴田さん側は、捏造された証拠を「犯人の着衣」と誤り、死刑判決を確定させた裁判所には重大な過失があるとした。
14年3月に静岡地裁で再審開始決定が出るまで、袴田さんは約48年間、拘置所などに拘束された。死刑執行を待つ中で精神はむしばまれ、現在も意思疎通が難しい状況が続く。賠償額は、身体拘束期間中に得られたはずの収入や、死刑執行の恐怖にさらされた慰謝料を基に算定した。
一方、畝本直美検事総長は再審無罪に対する控訴を断念した際に談話を出し、無罪判決の証拠の評価に「大きな疑念」を表明した。国側は改めて捏造を否定し、捜査の違法性について争うとみられる。
袴田さん側は今回の訴訟とは別に、検事総長の談話で名誉を傷つけられたとして国に550万円の賠償を求める訴訟も静岡地裁に起こしている。
県警と地検、最高裁はいずれも「コメントは差し控える」などとしている。【藤渕志保】
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