ウクライナから日本への避難者、7割以上が女性 就労支援が課題に
2022年2月に始まったロシアによる軍事侵攻で、ウクライナから2000人近くが今も日本に避難している。
日本は官民挙げて支援をしてきたが、避難生活が長引く中で生活費の支給は順次終了。
言語の壁、高齢者や子どもを抱えているといった事情から非正規雇用の避難者が多く、生活が一層厳しくなる可能性がある。
◇生活費支給は順次終了
出入国在留管理庁によると、ウクライナからの避難者の受け入れはロシアによる軍事侵攻翌月の22年3月から始まった。25年9月末までに来日した2825人のうち883人が既に離日したが、1942人は在留している。また、ウクライナでは成人男性の出国が制限されているため、避難者の7割以上が女性だ。
避難者を支えるため官民のさまざまな援助が続けられてきた。日本財団は身元保証人のいる約2000人に、3年間の期限付きで1人年間100万円(1家族上限300万円)を支給。国や自治体も生活費のほか、住居の無償提供などを実施した。しかし、軍事侵攻の開始から3年以上がたち、多くの避難者にとって生活費の支援期間は終わりつつある。
働いている避難者はいるが、大半が非正規雇用だ。日本財団が今年1~3月に実施したアンケートでは、回答した避難者937人の55%が働き、その4分の3がパートだった。日本語の能力について「とても話ができ、難しい内容も聞き取れる」のは回答者の1割にとどまる。
今後については、48%が「できるだけ長く日本に滞在したい」、25%が「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」を選択した。また、半数の人が今後必要な支援に「仕事の紹介、職業訓練」を挙げた。
ウクライナで行政経験があり、他の避難者をサポートするタチアナ・ホンチャレンコさん(51)=千葉県浦安市=は「避難者は日本の心温かいサポートに感謝している」と話す。ただ、「避難者の中には高齢者や障害者もいるし、複数の子どもを抱えて外で働くことができない人もいる。このような家庭には継続的な経済支援をしてほしい」と希望する。
◇キャリアのミスマッチも
一方、ウクライナ研究が専門で駐神戸ウクライナ名誉領事でもある神戸学院大学の岡部芳彦教授は「人道支援の時期は終わった。国として受け入れを決めた以上は責任を持つべきだが、延々と金を出すのではなく、避難民が働けるよう促すべきだ」と主張する。
ウクライナからの避難者が希望すれば、就労可能な「特定活動」の在留資格(1年更新)が与えられる。さらに、紛争から逃れた人らを難民条約上の難民に準じて受け入れる「補完的保護対象者」の制度が23年に始まり、紛争が終わっても日本に定住できるようになった。24年末までに1600人以上のウクライナ人が認定された。
ただ、避難者のそれまでのキャリアと日本で得られる仕事のミスマッチが起きている。岡部教授は「特に高学歴者で起こり得るので、うまくキャリアをスイッチできるように促すことが大切だ」と話す。ウクライナでの復興支援に関わる日本企業に避難者をつなぐなど、これまでのキャリアを生かしながら働ける環境づくりを提案する。
避難者は心の準備ができていないまま来日し、日本語の学習意欲や能力に個人差があるという。岡部教授は「言葉の壁さえ突破できればどこでも働ける。受け入れ当初から語学のサポートを徹底すれば良かった」と残念がる。若い人より日本語の習得が遅い中高年にも「マッチする仕事を探すサポートが望ましい」とした。
その上で、今回の避難者支援は、今後戦争から避難してきた外国人を受け入れる際のモデルケースになるとし、「支援の記録を残して検証すべきだ」と提案する。【柴田智弘】
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