岩手のクマ出没、10月は3084件で過去最多 宿泊キャンセルも

2025/11/21 15:07 

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 相次ぐクマの出没によって、岩手県の観光に悪影響が出ている。県のツキノワグマ対策関係部局長会議が21日に県庁で開かれ、県内の宿泊施設や市町村観光協会、旅行会社への聞き取り調査の結果が報告された。調査対象となった計40施設・団体のうち宿泊キャンセルがあったという回答が5件、予約減少が6件、露天風呂・足湯の閉鎖が2件あった。

 調査は18日に電話で実施。県内の県央、県南、沿岸、県北の全ての地域で悪影響があった。イベントへの影響はなかった。観光客を受け入れる施設は、クマが侵入しないように自動ドアの手動化、電気柵の設置、クマよけの鈴や撃退スプレーの携帯、掲示物による注意喚起などの対策を進めている。

 県商工労働観光部は「クマの危険性に注意を払いながら、観光を楽しんでもらうため、ホームページなどで正確な情報を随時発信する」としている。

 国がクマ被害対策をまとめたことを受けて、県の対策基本方針も21日に改定した。新たなクマ管理計画を来年度に策定▽狩猟免許を持つ自治体職員(ガバメントハンター)を公募▽クマの生息地と人の住む場所の間に緩衝地帯を整備する研修会の実施▽特別支援学校でのスクールバスによる登下校の安全対策強化▽春季捕獲の実施検討――に取り組む。

 県によると、今年度11月20日時点のクマによる人身被害は37人。このうち5人が死亡した。出没は10月末までに7608件に上った。10月の出没は3084件で、1カ月間の件数としては現在の統計方法になった2012年度以降で過去最多になった。10月末までに994頭を捕獲した。

 また、自治体の判断で発砲できる緊急銃猟を20日に県内で初めて実施したことが報告された。委託されたハンターが、洋野町で成獣のクマ1頭を駆除した。【山田英之】

毎日新聞

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