新潟県知事、柏崎刈羽原発の再稼働を容認 年度内にも運転再開へ

2025/11/21 16:01 

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 新潟県の花角英世知事は21日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を容認する考えを表明した。12月2日招集の定例県議会での議決を経たうえで、政府と東電に正式に地元同意を伝達する。その他の条件はそろっており、年度内にも運転再開が見込まれる。東電ホールディングス(HD)にとって福島第1原発事故以降、初の再稼働となり、日本の原子力政策の大きな転換点となる。

 柏崎刈羽原発は福島原発事故から1年後の2012年3月に6号機が定期検査のため停止したことにより、全ての原子炉が停止した。

 だが福島原発事故の処理のため巨額の費用負担を抱える東電HDは、6、7号機の再稼働を経営再建の「カギ」と位置づける。

 6、7号機とも17年12月、原子力規制委が福島原発事故後に定めた新規制基準に適合し安全審査に合格した。テロ対策の不備で一時、原子力規制委から事実上の運転禁止命令を受けたが、23年12月に命令は解除された。また岸田文雄政権で国は「原発回帰」に転換。6号機は既に核燃料が装着され、技術的な準備も整っている。事実上必要な地元同意のうち立地自治体の柏崎市と刈羽村の両首長も容認の姿勢を示し、知事の判断が残っていた。

 花角氏は判断にあたり、「県民の意思を見極め、リーダーとして判断し、その判断について県民の意思を確認する」との道筋を示してきた。

 県民意思を「見極め」るため1万2000人を対象に9月に実施した県民意識調査では県全体で再稼働の賛否が拮抗(きっこう)。再稼働の条件が現状で「整っていない」との回答も6割に上るなど、厳しい結果となった。

 また新潟県内は東北電力管内のため、柏崎刈羽原発で作られる電気はほとんど県内に供給されない。

 再稼働への理解を得るため、東電HDの小早川智明社長は県議会で、いずれも再稼働を前提として、今後10年間で計1000億円の拠出と1、2号機の廃炉の検討を表明。資源エネルギー庁の村瀬佳史長官は事故に備えた避難路整備に必要な経費を全額国費で負担することに言及していた。【木下訓明、神崎修一、戸田紗友莉】

毎日新聞

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