「大丈夫」の裏側考えて 政府、いじめ重大化防止の留意事項集を公表

2025/11/21 18:04 

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 「大丈夫」「何でもない」の裏側を立ち止まって考えて――。いじめの重大化を防ごうと、こども家庭庁と文部科学省は21日、教員ら周囲の大人の対応策をまとめた「留意事項集」を公表した。「児童生徒の話を傾聴する」「言葉以外のサインに注意する」など、児童生徒に寄り添い早期に発見・対応するための15項目を掲げている。

 留意事項集の作成に当たっては、いじめのうち心身に深刻な被害が生じている恐れがある「重大事態」について自治体がまとめた調査報告書を基に、重大化を防ぐ要因とみられるものを抽出した。

 周囲の大人が留意すべき事項として、「大丈夫」など児童生徒の言葉の裏に本当に伝えたいことが隠れていないか立ち止まって考える▽声のトーンや態度、体調、食欲に注意する▽教員が児童生徒の(障害など)特性に理解を深める▽いじめを行った児童生徒に形式的な謝罪を求めるのではなく、重大性を理解させるなど毅然(きぜん)と対応する――などの項目が盛り込まれた。

 教員らによる活用を想定した研修用事例集も同時にまとめた。発達特性のある児童が被害に遭ったり、担任の思い込みにより対応が遅れたりした架空の6事例を題材としている。

 今後、全国の教育委員会や子ども政策担当部局などに周知する。こども庁の担当者は「これだけで重大事態をなくせるわけではない。学校での日常的な取り組みが重要だ」と指摘した。【斎藤文太郎】

毎日新聞

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