分娩を全国一律価格に 帝王切開は3割負担継続 厚労省が検討

2025/12/03 17:46 

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 厚生労働省は、出産にかかる標準的な費用の無償化に向け、現状では病院ごとに異なる分娩(ぶんべん)費用を全国一律の公定価格にする検討に入った。公的医療保険で出産費用を全額まかない、代わりに出産育児一時金はなくす。4日の社会保障審議会医療保険部会に案を示す。

 少子化対策の一環で、出産の経済的負担の軽減が目的。帝王切開など分娩に伴う保険診療は、現行の3割の自己負担を継続する方向だ。「お祝い膳」やエステなどのサービスは全額自己負担を軸に検討を進める。

 現行の制度では、正常分娩は公的医療保険が適用されず、出産育児一時金が支給される。出産費用は原則、医療機関が自由に設定できる。一時金は2023年度に42万円から50万円に引き上げられたものの、出産費用も年々上昇。正常分娩による出産費用は、24年度の全国平均で約52万円。地域格差も指摘されており、最も高い東京都では約65万円だった。

 厚労省案では、公定価格として「基本単価」を設け、分娩数に応じた診療報酬を支給する。全国一律の公定価格にすることで、地域差による不公平感をなくすとともに、費用の透明化を図る狙いがある。

 マッサージや写真撮影など多様化するサービスが出産費用に含まれているという指摘があり、「見える化」を進めて妊婦が選べる環境を整える。

 厚労省は年内に制度の骨格をまとめるが、基本単価の額など詳細については検討を続ける。当初26年度を目指していた導入は、27年度以降になる見通しだ。全国一律で制度を開始するのではなく、可能な施設から新制度に移行することも検討する。【宇多川はるか】

毎日新聞

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