駐車場値上げで家賃も増額 「強引手法」に違法判決 東京地裁

2025/12/03 21:03 

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 物価上昇を理由に一方的に値上げされた駐車場の賃料を支払う必要があるのかが争われた訴訟で、東京地裁(舟橋伸行裁判官)が東京都内の不動産会社に対し、徴収した値上げ分1万1000円の返還と12万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。駐車場は家賃に比べて値上げの対象となりやすいとされ、返還を求めた借り主側は3日に記者会見し「強引な手法が違法と確認され、意義のある判決だ」と述べた。

 11月27日付の判決によると、原告の男性は都内の共同住宅と地下駐車場を月額18万8000円で借りていた。不動産会社は2025年4月分から駐車場の賃料を月額5500円増額すると通知し、2カ月分を上乗せした賃料を無断で口座から引き落とした。男性が返金を求めると、契約解除と自動車が出庫するために必要な駐車場の暗証番号の変更を予告した。

 借地借家法は、貸主からの一方的な賃料の値上げに対して借り主を保護しているが、駐車場は対象としていない。このため男性側は、家賃と駐車場が一体契約の今回のケースでは、駐車場だけでなく賃料全体の引き上げだと主張した。

 判決は、今回の解約予告は実力で駐車場を使えなくしようとする行為で違法と判断。増額した1万1000円は不動産会社の不当利得に当たるとし、弁護士費用12万円も損害賠償として支払うよう命じた。

 男性の代理人弁護士は会見で「強硬な方法で値上げする悪質な業者の歯止めになる」と評価した。【安元久美子】

毎日新聞

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