高松市議会、旧姓の通称使用法制化を求める市民陳情を趣旨採択

2025/12/18 17:01 

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 高松市議会の総務常任委員会(杉本勝利委員長)は18日、市民から出されていた「旧姓の通称使用法制化の速やかな実現を求める意見書に関する陳情」を趣旨採択した。趣旨には賛同するが、国へ意見書を出すまでには至らないとの判断。23日の同市議会本会議で採決される。

 同委員会は2021年12月、市民団体「選択的夫婦別姓制度を願う高松市民の会(通称・ぼそぼその会)」が出した選択的夫婦別姓制度の実現に向けた議論の活性化を求める意見書を採択している。4年前とは相反する陳情に、今回は一定の理解を示す結論となった。

 趣旨採択した陳情は、元教員の川田和秀氏(74)が提出。「国民が求めているのは選択的夫婦別姓ではなく、世論調査のほとんどが反対。我が国の同姓制度は世界の多様な姓のあり様の一つで、最近は旧姓の通称使用できる範囲が広がっている」などと主張する。

 北谷悌邦(きただによしくに)委員(自民党清新会)は「高市(早苗)政権は旧姓使用の法制化を目指しており、不便を抱えた人を救済する現実的な施策と考える。検討が進められているところで、趣旨には賛同するが、あえて意見書を提出する必要はない」と述べた。挙手採決で、杉本委員長を除く9人のうち、自民系2会派の計5人が趣旨採択に賛成した。

 この他、不採択を推す意見として「世論調査の根拠が不明。選択制を確立することが大事」(無所属・太田安由美委員)▽「ぼそぼその会との勉強会などを通じて、当事者の声を聞いてきたはず」(公明党・大山高子委員)▽「認識と異なり、陳情の内容に賛同しかねる」(市民フォーラム21・中西俊介委員)--などが出された。

 趣旨採択を受けて、ぼそぼその会代表の山下紀子さん(53)は「予想通り。そもそも『旧姓使用』は、選択制を阻むためだけの目的」と冷静に受け止めた一方、「不採択にしてほしかった。各委員とも本音は選択制に理解があるはず。我々の声を聞いたうえでの『落としどころ』なら、ひたすら残念」と語った。【広田正人】

毎日新聞

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