免職の元検事「独身偽装」か 「ずっと隣に」と送信 元交際相手提訴

2025/12/26 18:29 

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 他人の前科情報を交際相手に漏らしたとして、法務省は26日、さいたま地検の阿南健人検事(35)を懲戒免職処分とした。情報漏えいの相手はマッチングアプリで出会い、当時交際していた一般女性だった。女性は阿南元検事が独身と偽装して交際を続けていたとして、元検事に550万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしていた。

 提訴は23日付。女性側は、既婚者であることを知っていれば関係を持つことはなく、性的な自己決定権(貞操権)を侵害されたと主張している。

 訴状によると、女性は独身者向けのマッチングアプリで元検事と知り合い、2024年3月から交際を始めた。女性はアプリのプロフィル欄に「既婚者の方はごめんなさい」と明記した上で、交際前に婚姻歴を繰り返し確認したが、元検事は「独身」「婚姻歴はない」と回答したという。

 元検事は交際中、女性に対して「その隣にずっといたい」など、生涯を共にすることを思わせるようなメッセージをたびたび送信。しかし、交際から約1年5カ月後、元検事に妻子がいることが発覚した。

 交際中、阿南元検事は妻と共同購入して間もないマンションに女性を招き入れたことがあり、部屋は独身であるかのように装っていたという。女性は元検事から「友人に紹介する」と申し出があったとも主張している。

 さいたま区検は26日、阿南元検事を国家公務員法(守秘義務)違反で略式起訴し、さいたま簡裁が同日付で罰金30万円の略式命令を出した。検察庁の端末から入手した前科情報などを記載した紙を女性に渡したとする起訴内容だった。女性側は訴訟で「頼んでもいないのに、前科前歴の照会結果や、捜査情報を伝えられた」としている。

 女性は望まぬ形で不倫に加担させられたこともあり、精神的なショックから適応障害を発症したという。【北村秀徳、千脇康平】

毎日新聞

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