「謝罪は一切受けたくない」 前福井知事セクハラ 被害者は恐怖、涙
福井県の杉本達治前知事(63)のセクハラを認定した特別調査委員による調査報告書は、被害者らの恐怖や長年にわたる苦痛、怒りにも言及した。
「軽口や冗談のつもりだった」
セクハラの疑いが浮かんだことを受けて、杉本氏は2025年11月の記者会見でそう述べた。
これを見た被害者らは「長年の耐えがたい苦痛を軽視し、自己の責任を回避するための弁明」と受け取り、こう訴えたという。
「謝罪は一切受けたくない」「受けた精神的苦痛は一生忘れることができない」「福井から出て行ってほしい」
被害者の中には調査の時、度々涙を流しながら証言した女性もいた。
報告書からは被害に遭った時の苦悩もうかがえた。
性的な関心を寄せていると明らかに分かるメッセージを送られ、杉本氏の機嫌を損ねると仕事を失うのではないかと強く悩んだという。
セクハラの言葉に反応しないと、杉本氏から「冷たい」「愛情は?」というメッセージが届いたこともあった。最低限に機嫌を損ねないような言葉で返信せざるを得ず、そのことに被害者が自分を責めたこともあった。
「知事という立場を利用して、ものが言いにくい職員を相手に、嫌がる反応を楽しんでいるとしか思えず、非常に悪質と感じた」
被害者はそんな趣旨の証言をしていた。
さらに被害者には、杉本氏の支持者らによる攻撃や、ネット上の中傷に対する強い恐怖があったことにも触れた。
福井県の相談窓口に通報した被害者は、被害を打ち明けるかとても悩んだ。ただ、被害の実態を報告書にまとめてもらい、社会に伝えることが再発防止の一助になると考えたという。
一方、報告書ではセクハラの原因について分析している。
原因として、知事としての自覚が欠けていたことに加え、部下がメッセージを無視することが心理的に難しいとされる無料通信アプリ「LINE(ライン)」や私用メールが使われていた点を挙げた。
また、被害者から相談された上司はハラスメントの対応をする人事課と情報を共有しなかったほか「被害を通報しにくい組織風土があるように思われる」と指摘した。
こうした状況を踏まえ、報告書は被害者を守るため、個人情報の保護や人事上の不利益な扱いの禁止を求めた。再発防止に向けて提言もしており、研修の充実やLINEなどの私的なコミュニケーションツールの使用禁止の徹底、相談体制の強化などを訴えた。【萱原健一】
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