大分時速194キロ暴走、22日控訴審判決 遺族「最大限の量刑を」
大分市で2021年、時速194キロで衝突死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)に問われた当時19歳の男性被告(24)の控訴審判決が22日、福岡高裁(平塚浩司裁判長)で言い渡される。1審は危険運転の成立を認めたが、複数ある要件の一部しか認定せず、懲役12年の求刑に対し懲役8年とした。控訴審で検察側は悪質性を更に認めて量刑を重くすべきだと主張。弁護側は刑罰が軽い同法違反(過失運転致死)の適用を訴えている。
事故は21年2月9日午後11時ごろ、大分市の県道交差点で起きた。時速60キロの法定速度に対し、被告の乗用車は3倍超の時速194キロで直進。対向車線から右折してきた同市の会社員、小柳憲さん(当時50歳)運転の車と衝突し、小柳さんは出血性ショックで死亡した。
不注意で死亡事故を起こした場合などに適用される過失運転致死は法定刑の上限が懲役(現在は拘禁刑)7年であるのに対し、「故意」を認めて罰する危険運転致死は懲役(同)20年で、より重い。
公判では危険運転の成否が争点となり、検察側は被告が①「制御困難な高速度」で車を運転し、小柳さんの車に②「妨害目的で接近(妨害運転)」して衝突した――という2要件で危険運転が成立すると主張。24年11月の1審・大分地裁判決は①を認めた一方、②は「積極的に妨害しようとした意図は認められない」として量刑を軽くした。検察側、弁護側の双方が控訴した。
②の妨害運転要件は、あおり運転をした場合などに適用され、今回の事故のような状況で適用可否が争われるのは異例だ。検察側は控訴審で、被告の車は法定速度を著しく超過して交差点に入っており、右折しようとしていた小柳さんの車を妨害することになるのは明らかだったと指摘。高速度と妨害運転の両要件で危険運転の成立を認めるべきだと訴えた。ただ、妨害運転立証のために請求した証拠調べは高裁に却下された。
一方、弁護側は被告の車は車線を逸脱しておらず、タイヤが滑る現象も生じなかったとして「制御困難な高速度」ではなかったと反論。過失運転致死にとどまると主張している。
高速度要件を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)の部会で数値基準を設ける案が議論されている。小柳さんの姉、長(おさ)文恵さん(60)は「来月で事故から5年。一般道で常軌を逸した高速度を出し、大切な家族の命を奪った被告に最大限の量刑を与えてほしい」と話し、判決の行方を見守る。【森永亨、井土映美】
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