北朝鮮に8800万円の賠償命令 在日帰還事業は「違法」 東京地裁

2026/01/26 14:33 

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 在日朝鮮人らを対象にした「帰還事業」で北朝鮮に渡り、その後に脱北した4人(遺族含む)が、現地で劣悪な生活を強いられたとして北朝鮮政府に計4億円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し審判決で、東京地裁は26日、帰還事業の違法性を認め、北朝鮮に計8800万円の賠償を命じた。

 国交がない北朝鮮には判決文を送達できず、今後は「公示送達」の手続きで裁判所の掲示板に判決文が張り出される。掲示翌日から2週間以内に北朝鮮が控訴しなければ判決が確定する。賠償金が支払われない場合、原告側は不動産や預貯金など原則国内にある北朝鮮の財産を特定して裁判所に差し押さえを求めることができるが、実際に回収できるかは不透明だ。

 訴状によると、原告らは北朝鮮側から「地上の楽園」だと虚偽の勧誘を受け、1960~72年に北朝鮮に渡った。しかし、実際には最低限の食料も得られず、出国も許されなかったという。

 2001~03年に脱北したが、長期間にわたり移動の自由や自己決定権を侵害されたとして18年に提訴。北朝鮮は訴訟で反論する書面を提出しなかった。

 差し戻し前の東京地裁判決(22年3月)は北朝鮮の勧誘行為について、提訴時には不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が過ぎているとして請求を棄却。出国を禁止する留置行為は北朝鮮で起きたことで、日本の裁判所に管轄権はないとして訴えを却下した。

 これに対して東京高裁判決(23年10月)は、勧誘行為と留置行為は一つの継続的不法行為と捉えるべきだと指摘。管轄権は日本の裁判所にあるとし、地裁で改めて審理すべきだとした。【安元久美子】

毎日新聞

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