モーグル堀島行真 逆算ではじき出したミラノで「金銀」の確率は?

2026/02/12 16:30 

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 時に大胆に、時に緻密に。

 フリースタイルスキー・モーグル男子、堀島行真(いくま)選手(28)=トヨタ自動車=はミラノでの金メダルに照準を合わせ、この4年間を計画的に過ごしてきた。

 ◇「勝率」を割り出し

 オリンピックは3回目。11位に終わった2018年の平昌大会を経て、北京大会で銅メダルに輝いた。

 日本勢大会第1号のメダルに周囲は沸いたが、堀島選手は翌日の記者会見で次を見据えた発言をした。

 「金メダルを取るために何が必要かを考えながら、人も時代も変わる中で自分を常に高みにいられるようにしたい」

 当時から五輪直前の大会の成績をもとに「勝率」を割り出し、自分の状態を客観的に見るよう心がけていた。

 北京大会直前のワールドカップ(W杯)では9試合すべてで表彰台に立った。まだ五輪種目に含まれていなかったデュアルモーグルを除くと、3試合で優勝し、3試合で3位だった。

 ほかの選手の調子もあるため「必ずしもオリンピックがそういう結果にはならない」としつつ、勝率から「金」か「銅」はある程度想定していたという。手にしたのは銅メダル。でも、そこに甘んじるつもりはなかった。

 ◇緻密な計画立て

 ミラノで頂点に立つために――。

 逆算して一つ一つを積み上げていく生活が始まった。

 その一例として、ノルウェーに練習拠点を移したことが挙げられる。

 ジャンプの精度の向上に重きを置き、中国や米国の室内スキー場なども検討した。しかし、最終的にノルウェーに決めた理由は「ミラノと時差がない。オスロの空港から2時間で行ける距離も含めて、オリンピックとの近さがあった」からだ。

 技を磨き上げようと、シーズンオフに100本滑る目標も立てた。

 持ち味でもある難易度の高い大技「コーク1440」は50本を自らに課した。

 限られた滑降日数を十分に生かすため、生活面など日々の時間のマネジメントを意識する。

 「トレーニングだけがモーグルに関わるものじゃない。競技に対する取り組みの質は上がってきている」

 ◇ミラノの勝率は?

 プライベートでもこの4年間で大きな変化があった。

 結婚と第1子の誕生だ。妻に道具やウエアの色などを相談しているという。同じモーグルの経験者ゆえに理解してもらえる部分があり、気持ちの安定につながっている。

 遠征が多く、離れている時間は少なくないが「結果に関わらず家族との日常が続いていくことが基盤になっている」と明かし、「一緒にいられない時間を過ごしているので、家族にも我慢させた分、結果で応えたい」と意気込む。

 代表決定後の1月、直近のW杯の成績から「40%の確率で金メダルか銀メダルという評価」と自信をのぞかせた。

 開幕にあたり発表したコメントで「過去3大会の中でも最も良い準備ができている」と手応えを感じていた通り、10日の予選1回目は完成度の高い滑りで85・42点を出し、1位に立った。

 80点台をマークしたのは1人だけで、得点が出た瞬間には「ありがとうございます」と手をたたき、納得の表情を見せた。

 決勝は12日(日本時間午後8時15分開始予定)。冷静に目標を見定めてきたアスリートが、ついに勝負の時を迎える。【椋田佳代、和田幸栞】

毎日新聞

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