宅地かさ上げ工事、大半でスケジュールに遅れ 九州豪雨6年
熊本県の球磨川中流域で国が進める宅地かさ上げ工事は、大半でスケジュールに遅れが出ている。当初予定された2025年度までに完了せず、1年延長。住民らは仮住まいの長期化にも苦しめられている。
国土交通省八代河川国道事務所は、被災後の緊急治水対策プロジェクトで盛り土をして地盤を数メートル上げる宅地かさ上げと、集落を堤防で囲む輪中堤の整備を進めてきた。6年前と同規模の洪水でも家屋の浸水を防ぐのが目的で、県内の八代市坂本町(旧坂本村)15カ所、芦北町5カ所、球磨村11カ所の全31カ所が対象。
ただ、個々の補償交渉などに時間がかかり、26年5月末時点で事業が完了したのは10カ所。かさ上げ工事は、地権者約100人の土地が対象だが、約90人分が終わっていない。
◇追い打ちかける国の誤説明
八代市坂本町の合志野(おうしの)地区の元区長、松村義美さん(69)は避難生活を終えいったん古里に戻ったが、着工に伴い1年半前から再び仮住まいをしている。26年3月の完工を信じ、自宅の新築工事契約も済ませたが、8月ごろまで延びることになった。「4月に建て始めれば夏には住める。被災後に亡くなった父の盆の供養に間に合うかもしれない」と期待したがかなわなかった。
国の誤った課税説明にも巻き込まれており、安息の日々は遠い。「落ち着かないです、仮住まいは。早く戻って、ゆっくりしたい」と表情を曇らせた。【中村敦茂】
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