退任の小林製薬社長「役割果たした」 紅麹問題発覚後に就任
小林製薬は21日、紅こうじサプリメントによる健康被害の再発防止に向けて経営体制を刷新するため、山根聡社長(64)が退任すると発表した。3月の定時株主総会で提案する。新社長には国際事業本部長で執行役員の豊田賀一氏(60)が就任する。
山根氏は紅こうじ問題が発覚した際の専務で、2024年8月に社長に就任した。21日のオンライン記者会見で山根氏は「補償と再発防止の枠組みを整備し、役割を果たしたと取締役会に判断していただいた。世代交代、組織改革の実効性を高める上でも最適と考えた」と退任理由を述べた。
このほか、京セラ出身で日本航空の再建に携わった大田嘉仁氏(70)が空席となっていた会長に就任する。ガバナンス(企業統治)の抜本的な改革に向け、社外取締役の人数を現在の4人から6人に増やす予定。
創業家出身で前社長の小林章浩氏(53)は、健康被害を受けた人への補償を担当する取締役として留任する。山根氏は「補償の取り組みは道半ばで、創業家出身者が向き合うことが必要」と説明した。章浩氏の父親で前会長の一雅氏(85)は、引き続き特別顧問を務める。
また、小林製薬は2月19日に臨時株主総会を開くと発表した。大株主の香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」が開催を求めていた。オアシスは紅こうじ問題の対応を批判し、被害の再調査や新たな社外取締役3人の選任を提案している。小林製薬は「再調査は再発防止の取り組みを停滞させる」などとして、オアシスの提案に反対を表明した。
さらにオアシスは健康被害の対応に問題があったとして、一雅氏ら当時の経営陣7人に対して約110億円の損害賠償を求める訴訟を起こすよう同社側に求めていたが、小林製薬は提訴請求には応じないと発表した。【妹尾直道】
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