消費電力は100分の1に? 注目されるNTT主導の「光電融合」とは
18日に閣議決定された政府のエネルギー基本計画(エネ基)は、人工知能(AI)の普及に伴いデータセンターなどの電力需要が増加すると見込んだ。消費電力の低減が急がれる中で、NTTが研究開発を主導する「光電融合」と呼ばれる技術も注目されている。
光電融合は、情報の伝送や処理に従来の電気信号ではなく、光を用いる技術。情報をより遠くへ送ったり、速く処理したりする際、電気信号を用いるとそのぶん消費電力が増える。これに対し、エネルギーのロスが少ない光に置き換えれば消費電力が少なくて済む。
この技術を用いた次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」の研究開発を主導するのがNTTだ。同社によると、IOWNが実現すれば電力効率が100倍(消費電力は100分の1)に向上するほか、通信の容量は125倍、遅延は200分の1に改善する。
光ファイバーの導入で、既に情報の伝送には光が使われている。NTTは2032年までに、一つ一つの半導体チップ内部で行われる演算処理にまで光を導入する姿を描く。NTTの川添雄彦副社長は「インターネットの次の世界を実現する」と意気込む。
技術開発に向けて国内外の連携も進む。NTTが20年1月に立ち上げた国際団体「IOWN Global Forum」には、マイクロソフトやグーグルといった米巨大IT企業も含めて国内外の150社以上が参加。総務省もIOWNを念頭に「オール光ネットワーク」実用化を後押ししており、24年度補正予算などで関連予算も拡充した。30年ごろの社会実装を見据えて研究開発や実証環境の整備を急ぐ。
ただ、IOWNの「一丁目一番地」ともいえる消費電力の抑制は、一朝一夕に実現できるものではない。光電融合の技術開発を支援する総務省幹部は「世界を変えるかもしれない日本発の画期的な技術という期待は当然ある」とする一方で「本当にものになるかは見通せない」と漏らす。
24年6月、エネ基の改定に向けた経済産業省の審議会では、NTTの澤田純会長がIOWN構想について説明。「他国もさまざまな取り組みをしているが、今の段階では(IOWNが)先行している」と優位性を訴えたが、「社会実装するうえで必要なコストや実施主体が見えない」(経産省幹部)と結局、今回のエネ基には反映されなかった。
現時点で「期待先行」の感が否めないIOWN構想だが、今春開幕する大阪・関西万博で消費電力を8分の1に抑えたサーバーを公開する。26年中に商用化する予定で、大口需要も取り込んで普及へ弾みをつけたい考えで、「いきなり100分の1ではなく、徐々に実現する」(川添氏)構えだ。【藤渕志保】
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