みずほ銀でも数千万円 貸金庫窃盗、相次ぎ明らかに 進む管理見直し

2025/02/18 19:24 

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 みずほ銀行は18日、元行員が顧客2人の貸金庫から現金数千万円を盗んでいたと発表した。貸金庫ビジネスを巡っては、同じメガバンクの三菱UFJ銀行でも元行員による巨額窃盗事件が判明しており、金融機関の信頼が大きく揺らぐ事態となっている。

 みずほ銀によると、2019年に元行員が勤務先の支店の貸金庫から、顧客の現金を盗んでいたことが判明。行員を懲戒解雇処分とし、金融庁に既に報告したという。元行員の年齢や役職、具体的な手口などは明らかにしていない。

 これまで公表しなかった理由について、みずほ銀は「顧客への配慮もあり、明らかにしなかった」と説明。弁償など顧客への対応は済ませたという。再発防止策として、金庫のスペアキーの管理体制を見直しており、貸金庫の盗難は19年の発覚以降、発生していないという。

 貸金庫を巡っては昨年、東京都内の三菱UFJ銀の支店で金品を盗んだとして、元行員の女性が窃盗容疑で逮捕・起訴された。被害額は十数億円に上るとみられる。ハナ信用組合(東京)でも、横浜支店の元職員が貸金庫の鍵を複製し、現金を盗んでいた事案が発覚している。加藤勝信金融担当相は18日の衆院財務金融委員会で、「こうした事案が続くと、金融機関の信頼に懸念が生じかねない」と指摘した。

 各金融機関では、貸金庫の管理体制や事業を見直す動きが広がっている。みずほ銀は今年1月から貸金庫利用の新規受け付けを原則停止し、新たな店舗には設置しない方針だ。三菱UFJ銀は今年度中に、事業見直しの方向性を示すとしている。

 三井住友銀行も顧客のニーズを踏まえ、事業のあり方を検討する。三菱UFJ銀の事件発覚後、全店で管理体制を点検し、問題は見つからなかったという。新たな対策として、金庫の予備鍵をしまう格納庫の鍵の管理を本部に集約した。

 全国銀行協会も24年12月に、貸金庫の管理体制を点検するよう全国の金融機関に通達を出した。福留朗裕会長(三井住友銀頭取)は2月13日の記者会見で「災害・安全対策を目的に、貴重品や重要書類を安全に保管しておきたい利用客の需要がある」と指摘。今後の貸金庫のあり方については「各行が検討していくものだ」と述べていた。【成澤隼人、井口彩、竹地広憲】

毎日新聞

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