セブン＆アイ・ホールディングス（ＨＤ）の創業家による自社買収（ＭＢＯ）計画について、出資を検討していた伊藤忠商事が参画を断念する方向で調整していることが２６日、明らかになった。カナダの同業からの買収提案に対する事実上の対抗策と位置づけられていたＭＢＯ計画の行方は不透明になった。

　伊藤忠は、セブン創業家から協力要請を受け、１兆円規模の出資を検討してきたが、出資に見合う既存事業との相乗効果が得られないと判断したようだ。伊藤忠はファミリーマートを傘下に持つため、独禁法上の懸念も指摘されていた。

　セブンへの出資の可能性を巡っては、２月６日の伊藤忠の決算記者会見で鉢村剛最高財務責任者（ＣＦＯ）が、検討の事実を認めたうえで「決まっていることは何もない」と強調し、「他の新規案件と同じくステークホルダー（利害関係者）の了解を得ながら検討を進める」と説明していた。

　ＭＢＯ計画では８兆～９兆円規模の資金が必要とみられ、創業家側は国内大手行や海外ファンドなどと水面下で調整を続けている。意思決定は５月に開催予定のセブンの株主総会が一つのタイミングとされているが、大口出資者として期待されていた伊藤忠が離脱することで、計画実現に向けては不透明感が強まった。【加藤結花】