ウクライナの鉱物資源、実態は プーチン氏は占領地での開発提案
ロシアの侵攻を受けるウクライナと最大支援国・米国の間で、鉱物資源の共同開発を巡る合意がまとまった。トランプ米政権はかねて、軍事支援の見返りとしてウクライナ国内の希少鉱物資源の権益譲渡を求めてきた。その実態はどのようなものなのか。
英紙ガーディアンによると、世界の鉱物資源の約5%がウクライナに存在すると推定されている。また、欧州連合(EU)が指定した34種の重要鉱物のうち、22種を有するとされる。
特に、電気自動車(EV)の電池に使われるリチウムの埋蔵量は約50万トンで、欧州全体の3分の1を占めるという。同じくEVなどで使われる黒鉛は、世界の5分の1をウクライナが占めるとされる。飛行機の機体などに使用される軽金属チタンの主要供給国でもあり、2019年には世界の生産量の約7%を占めた。
だが、ロシアの侵攻後、これらの鉱床がある地域の一部は露軍に占領された。英BBC放送が報じたウクライナ政府高官の話によれば、占領地域には3500億ドル(約52兆円)相当の資源が残されているという。
現在、世界で技術革新が進む中、鉱物資源の価値は高騰している。米CNNはトランプ政権がウクライナの資源を欲する理由について、重要鉱物の多くで圧倒的なシェアを握る「中国の優位性」を指摘する。最大の競争相手とみる中国への依存から脱却するため、代替供給国を探すことが米国で重要な課題になっている模様だ。
一方、プーチン露大統領は24日のインタビューで、米国とウクライナの鉱物資源を巡る交渉に関して「我々には無関係」としつつ、「ロシアはこの種の資源を桁違いに多く保有している」と言及。「新たな歴史的領土を含め、米国など全ての外国のパートナーと(開発で)協力する用意がある」とアピールした。
プーチン氏は「新たな歴史的領土」について「ロシアに戻ってきた」と説明した。ロシアが大部分を占領し、22年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州を指すとみられる。外国との共同開発が始まれば、占領地域の実効支配を国際的に認めさせられるとの狙いが透けて見える。【国本愛】
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