ウクライナ「アメリカとの関係を深める」 鉱物の共同開発に合意
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などは25日、ウクライナが国内のレアアース(希土類)を含む鉱物資源の共同開発について米国と合意したと報じた。ただ、合意文書にはウクライナが求めていた、ロシアと停戦後の安全保障の確保に関する明確な記述はないという。トランプ米大統領は25日、ウクライナのゼレンスキー大統領が28日に訪米し、合意文書に署名する見込みだと明らかにした。
FTなどによると、24日付の合意文書の最終版には、ウクライナの経済復興事業に使う基金を創設することなどが盛り込まれた。基金には、ウクライナが将来的に石油やガスを含む地下資源から得る収入の50%を拠出し、米国の拠出額は今後の交渉で決めるという。
ウクライナの高官はFTに「(安全保障の確保より)もっと有利な条件について交渉した」と説明し、合意は「米国との関係を深めるためのものだ」と話した。
トランプ氏は25日にホワイトハウスで記者団に「彼(ゼレンスキー氏)が一緒に署名したいのなら、私は構わない。これは大きな取引だ。米国民は非常に喜んでいると思う」と述べた。米国のこれまでのウクライナへの支援にも触れ「そのお金を取り戻したい」とも語った。
トランプ政権は対ウクライナへ支援継続の見返りに鉱物資源の権益の譲渡を求めている。ゼレンスキー氏はこれまでバンス米副大統領らと協議してきたが、合意文書の草案に安全保障の確保に関する項目がなかったため、署名を拒否していた。これに対しトランプ氏はいらだちを募らせ、両者の関係は悪化した。
だが、ウクライナとしては、米国との関係が悪化すれば、米国が仲介するロシアとの停戦交渉で不利な立場に立たされかねない。このため鉱物資源の共同開発で合意にこぎ着けることは急務となっていた。【ベルリン五十嵐朋子、ワシントン松井聡】
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