高額療養費見直し「一旦立ち止まって」 患者団体、改めて凍結訴え

2025/02/26 20:49 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 高額な医療費の患者負担を月ごとに抑える「高額療養費制度」の見直しを巡り、全国がん患者団体連合会(全がん連)などは26日、東京都内で記者会見を開き、見直し案実施の凍結を改めて主張した。患者団体は「命のために一旦立ち止まってほしい」と訴えている。

 政府は8月から2027年8月にかけて3段階で年収や年齢ごとに異なる患者負担限度額を引き上げる方針だ。直近12カ月の間に3回以上、この限度額を超えた場合は4回目以降の患者負担限度額を引き下げる多数回該当も見直す構えだったが、患者団体の反発を受けて現状のまま据え置く方針に転換した。

 会見に同席した五十嵐中・東京大大学院特任准教授の試算によると、22年度に制度を利用した70歳未満(健康保険組合と国民健康保険の加入者)のうち、これまで多数回該当を利用していた患者が、新たな限度額に見直されると、少なくとも約8万人が多数回該当の対象外になるという。治療を一時中断したり、転職などで加入する保険者を変更したりするケースが考えられるという。厚生労働省は26日の衆院予算委員会で、見直し後に発症した患者は新たな限度額を超えた場合に適用される、とも答弁している。

 全がん連の天野慎介理事長は「多数回該当から外れてしまう人が出かねない。再検討してほしい」と政府に呼びかけた。【阿部絢美】

毎日新聞

社会

社会一覧>