「無責任すぎる」 結婚式場が突然の破産手続き、困惑する関係者

2025/02/26 20:55 

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 福岡・佐賀両県で結婚式場を運営する「アルカディア」(福岡県久留米市)が、福岡地裁久留米支部に破産申請をする準備に入ったことが判明した。同社を巡っては、新型コロナウイルス対策に伴う国の雇用調整助成金(雇調金)を不正受給したとして両県警が元社長らを詐欺容疑で逮捕。同社は25日以降の挙式や披露宴はできないとしており、関係者は困惑している。

 帝国データバンクによると、2024年8月期末の負債額は約40億3200万円。福岡労働局はアルカディアに対し、受給した雇調金約10億円を返還するよう命じていた。

 元社長らの逮捕を受け、同社が3日付でホームページに掲載したお知らせでは、結婚式について「これまでと変わらぬ良質なサービスを全力で提供」と表明。だが25日付で「業績不振により、支払い不能の状態に陥った」との理由で事業停止と破産手続きの予定を発表。「本日以降の挙式・披露宴・宴会が全て実施できなくなった」とした。

 3月末に挙式予定だった福岡県朝倉市内の男性(28)は25日夜に同社から無料通信アプリ「LINE(ライン)」で破産手続き予定を知らされた。同じ日に別の式場でできないか検討したが、打ち合わせなどを考えると間に合いそうになく延期を決断。男性は取材に「最後までやり遂げてほしかった。無責任すぎる」と憤りをあらわにした。

 一方、福岡市で結婚式場の紹介などのサービスを提供する会社「Five.N」は、影響を受けた新郎新婦に別の式場の調整などをサポートしようと緊急相談窓口を設置。既に40組以上の相談があり、二井土(にいど)剛社長は「突然のことでどこに何を相談すべきかも分からない状況だと思う。可能な限り希望に沿う形で支援したい」と語った。相談は同社店舗「N Wedding」のLINEアカウントで受け付けている。【高芝菜穂子、日向米華】

毎日新聞

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