豊田自動織機が株主総会 トヨタグループ買収案、TOB価格に不満の声

2025/06/11 08:30 

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 豊田自動織機は10日、愛知県高浜市の自社工場内で定時株主総会を開いた。トヨタグループによる買収提案の受け入れを巡り、株主からは株式の公開買い付け(TOB)価格などへの不満が相次いだ。

 豊田織機は今年12月上旬に予定されるTOBの受け入れで、トヨタ自動車と同社の豊田章男会長、グループ会社のトヨタ不動産が出資して新設する持ち株会社の完全子会社となる。上場会社としては今回が最後の定時総会となる可能性が高く、出席株主数は351人と自動車用エンジンなどの認証不正判明後に行われた前回(255人)より100人近く多く、関心の高さをうかがわせた。

 株主の一人は、1株当たり1万6300円と設定されたTOB価格について、「(3日に)発表する前(の終値)は1万8400円だった。安すぎるのではないか」と指摘した。伊藤浩一社長は「本源的価値を十分に反映した株式価値だと考えられる」と述べ、価格設定の妥当性を強調。一方、発表前に報道が相次ぎ株価が上振れしたことに、「TOBに応募いただくかどうかについては中立の立場」と述べた。

 ほかの株主からは「株式を一生の宝として息子に引き継ぐつもりだった」「少数株主への配慮が不足していると思う」との声や「なぜ(豊田氏)個人が出資するのか。創業家の支配が強まるのでは」との質問も出た。豊田氏の出資について伊藤社長は「支配という考えは一切ない。今も(豊田氏は)個人で当社の株を持っており、関係は大きく変わらない」と説明した。【大原翔】

毎日新聞

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