アサヒHD、「ランサムウエア」の攻撃確認 情報漏えいの可能性も

2025/10/03 19:54 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 アサヒグループホールディングス(HD)で9月29日に発生したサイバー攻撃によるシステム障害について、同社は3日、ランサムウエアによる攻撃を受けたことを確認したと発表した。被害拡大を防ぐため攻撃の詳細については情報開示を控えるとしたうえで、情報漏えいの可能性を示す痕跡が確認されたことも併せて発表。内容や範囲については調査中としている。

 ランサムウエアは、パソコンやサーバーに侵入して情報を盗み取り、不正に暗号化して使えなくするコンピューターウイルス。身代金要求などの手段に悪用される例が相次いでいる。

 アサヒグループHDによると、今回のサイバー攻撃を受け、取引先などの個人情報を含む重要データの保護を最優先にするため、障害の発生したシステムの遮断措置を講じた。この遮断に伴い、国内グループ各社の受注・出荷を含めた各種業務に影響が生じているほか、社外からの電子メール受信ができない状況が続いているという。

 同社の勝木敦志社長は「情報漏えいの可能性については、内容と範囲の特定に向け調査を継続している。一刻も早い復旧に向けて全力を尽くすとともに、お客さまへの商品供給を最優先として代替手段による対応を進めていく」とコメントした。

 一方、林芳正官房長官は3日の記者会見で、アサヒグループHDの受けたサイバー攻撃に関し「現時点では被害状況などについては調査中で、その影響も含め、関係省庁が協力をし、情報収集をしているところだ」と述べた。社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進展するなか「わが国のサイバー対処能力の向上は喫緊の課題だ」として、政府が注意喚起するなど対策を推進していく考えを示した。【佐久間一輝、竹内望】

毎日新聞

経済

経済一覧>