過激派テロや攻撃を誘発の恐れ トランプ氏の「ガザ所有」発言

2025/02/05 21:12 

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 トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザ地区を米国が「所有」するとの意向を示したことに対し、中東のイスラム諸国が反発を強めている。各地のイスラム過激派がトランプ氏の発言に反発し、新たなテロを起こす懸念もありそうだ。

 「協議すること自体が間違っている」。トルコメディアによると、トルコのフィダン外相は5日にこう語った。トランプ氏の考えについて「中東は受け入れることができない」と明言した。

 「アラブの盟主」を自任するサウジアラビアは、トランプ氏の発言直後に声明を出し、パレスチナ国家樹立による「2国家解決」を目指す方針を堅持する姿勢を示した。「サウジの確固たる立場は交渉不可能だ」と強調した。

 エジプトのアブデルアティ外相も5日、パレスチナ自治政府のムスタファ首相兼外相との会談で「パレスチナ人がガザ地区を離れることなく早期復興を行う」ことの重要性を強調し、2国家解決への支持を改めて表明した。

 ガザ地区のイスラム組織ハマスや、ハマスと連携する過激派組織「イスラム聖戦」も相次いで声明を出した。「どの国であろうと、我々の土地を占領することに反対する」などと訴えた。

 一時停戦中のイスラエルとハマスの戦闘を巡っては、親ハマスの中東の武装組織がイスラエルや近海の商船などへの攻撃を繰り返した経緯がある。反欧米を掲げる各地のイスラム過激派にとっても、パレスチナ情勢は敏感な問題だ。トランプ氏の発言に刺激され、新たな攻撃やテロが起きる恐れもある。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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